第98回を迎えた帯広浪曲学校の年次大会を取材するため、北海道まで一泊二日で行ってきた。その模様は別途話楽生webの連載で書く予定なので、また後日。
大会後、同行のみなさんと痛飲し、ホテルに帰って就寝した。11時チェックアウトの宿なので、寝坊ができるのがありがたい。
起きてみるともう9時近くて、朝食を済ませて外出の支度をした。外に出るといい天気である。といっても気温はマイナス3度だ。同日新千歳空港は雪に降りこめられ、札幌駅からのJR線も動けなくなるなど大変な事態だったようなのだが、道東にはそこまでの積雪はないらしい。とはいいつつも雪は路面に残っているので、滑らないように気を付けながら歩かなければならない。
帯広市内には個人営業の古本屋はない、と思っていたのだが、実はあることが判明した。前回来たのは2年前なので、そのときから存在はしていたはずなのである。初めての來帯ということもあって探す余裕がなかったのだ。この日は1時間ほど空きがあった。12時から会食の予定だが、目指す場所までは徒歩で15分ほどの道のりなので充分間に合うだろう。
ところどころ凍結して滑りやすくなっている道をそろそろ歩いていく。
目指す場所までは、帯広駅からほぼ一直線に南下するだけである。見通しがいいのだが、歩いている人をまったく見かけない。車は通るのだが、帯広市民はあまり歩かないのだろうか、と思っていたら、向こうに人がいた。しかも「杉江さん」と話しかけてくる。
これにはびっくりしたのだが、帯広に同行していたHさんだった。
「おはようございます。どうしたんですか、こんな早くに」
「この近くの喫茶店で仕事をしていたんです。杉江さん、DM見ましたか」
「あ、見てないんです。このへんに古本屋があると知って、来てみたんですが」
「見てないんですか。そこですよ、そこ」
Hさんが指さす方を見ると、たしかに「古本馬酔本」と書かれた看板が置かれた建物があった。サッシ戸がある表面は店舗というより、どちらかといえば倉庫の趣きだ。それもそのはずで、ここは無人古本屋なのである。
Hさんと中に入る。店内は左右の壁際に書棚が並び、奧にテーブルが置いてある。書棚は向かって右に単行本、左に文庫という並びだった。無人のお店だとは知っていたのであまり期待していなかったのだが、結構充実した品ぞろえで、右側奧には演芸本コーナーまであった。
精算は三鷹市にあるBOOK ROADと同じで、ガチャガチャを回して行う。200円と300円のカプセルがあって、本の値札に合わせて金額の合計分を回すという仕組みだ。カプセルの中には紙袋が入っていて、本を入れて持ち帰ることができる。キャッシュレスの無人古本屋は割と増えてきたが、このガチャガチャ方式も情緒があってなかなかいいと思うのである。
落語の本を一冊買って外に出た。無人古本屋、長く続きますように。



