過去仕事 一覧

芸人本書く派列伝extra01 河内潔士(川内康範)『哀怨の記 天中軒雲月』(積善館)

川内康範に二代目天中軒雲月こと伊丹秀子を書いた小説『哀怨の記』という作品があることは以前から知っていた。ただ、図書館にもないような古い作品なので読む機会はなかったのである。それが2020年の暮れ、下北沢の古本屋を回っているときに偶然見つけることができた。発見したのは、古書明日である。頼りになる古本屋だ。ありがとう。 手に入れたので早速読んでみた...

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小説の問題vol.61 「ふたりの作家のグルーヴ感」 横山秀夫『第三の時効』 ・北方謙三『林蔵の貌』

小説の問題vol.61 「ふたりの作家のグルーヴ感」 横山秀夫『第三の時効』 ・北方謙三『林蔵の貌』

私のようにのらくら生きている人間でも、日々の暮らしの中で疑問を感じることはある。以下は最近気になったこと。 一つは、先日刊行されたハワード・ヘイクラフト編の『ミステリの美学』(成甲書房)について。この本はミステリー評論としては古典の域に入る一冊で、読めば大いに知的な刺激を受けることができる。大昔に抄訳本が出たことがある本で、残念ながら今...

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芸人本書く派列伝vol.25 ビートたけし『やっぱ志ん生だな!』玉袋筋太郎『粋な男たち』

芸人本書く派列伝vol.25 ビートたけし『やっぱ志ん生だな!』玉袋筋太郎『粋な男たち』

落語界一の大物・林家木りんの著書が出ていた。『師匠! 人生に大切なことはみんな木久扇師匠が教えてくれた』(文藝春秋)である。ただしこの場合の大物とは、文字通り新潮がでかいことを指している。林家木りん、192センチもあるのだ。190センチのアントニオ猪木より大きく196センチのジャンボ鶴田にはわずかに及ばない。父が元大関・清國なのだから...

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小説の問題vol.60「二つのロマン 重箱の隅つつき風案内」多島斗志之『汚名』 ・高野秀行『幻獣ムベンベを追え』

小説の問題vol.60「二つのロマン 重箱の隅つつき風案内」多島斗志之『汚名』 ・高野秀行『幻獣ムベンベを追え』

トリヴィビアルな知識を披露するのがはやっているらしい。たとえば「カーネル・サンダース人形の眼鏡には、度が入っている」などと。酒場の暇つぶしにいい、害のない知識である。深夜番組「トリビアの泉」あたりがその元か。この手の知識は好きなので、私もいくつか披露を。まず一つめ。 「太平洋戦争中に処刑された最高の外国人スパイと、太平洋戦争の最高戦犯と...

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小説の問題vol.59 「時代の逆風に耐えた作家と時代の波が産んだ作家と」 浅暮三文『殺しも鯖もMで始まる』・皆川博子『花闇』

小説の問題vol.59 「時代の逆風に耐えた作家と時代の波が産んだ作家と」 浅暮三文『殺しも鯖もMで始まる』・皆川博子『花闇』

『立川談志遺言大全集』(講談社)の購読を始めてしまった。読み出すと止まらないからやめようと思っていたのに。第十三巻『芸人論/鬼籍の名人』は文春文庫『談志楽屋噺』の再録だが、手に取ればつい読みふけってしまう。「落語」が大衆芸能として絶大なる力を持っていたころの空気が魅力的に伝わってくるからだ。 談志の著書とはまた別の理由で、小林信彦『コラムの逆襲...

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芸人本書く派列伝returns vo.24 山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』『ヒキコモリ漂流記』

芸人本書く派列伝returns vo.24 山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』『ヒキコモリ漂流記』

ちょうど五十になりました。 この一文をあるメロディに乗せて読んでしまうのは、たぶん私と同い年か、それより上の演芸ファンではないかと思う。さらに言えば、落語協会よりも落語芸術協会が贔屓だった人。 ベテラン、東京ボーイズの持ちネタの一節である。 東京ボーイズは旭五郎、菅六郎、仲八郎のトリオ芸人で、五郎がアコーディオン、六郎が三味線、八郎...

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小説の問題vol.58 「時代の風と時代の鏡」泡坂妻夫『飛奴』・司馬遼太郎『城をとる話』

小説の問題vol.58 「時代の風と時代の鏡」泡坂妻夫『飛奴』・司馬遼太郎『城をとる話』

ここ数年、本誌新年号の楽しみといえば泡坂妻夫の「夢裡庵先生捕物帳」だった。このシリーズは、新作短篇が一年一作年始のあたりにお目見え、という悠長なペースで刊行され、これまで随分長い時間をかけて短篇集が二冊編まれてきたのだが、二〇〇二年にはなぜか一月号、七月号と二作がパタパタ発表され、あれよあれよという間にシリーズが完結してしまっ...

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小説の問題VOL.57 「偶然という舞台の上で踊るもの」 小川勝巳『撓田村事件 iの遠近法的倒錯』・佐藤正午『ジャンプ』

小説の問題VOL.57 「偶然という舞台の上で踊るもの」 小川勝巳『撓田村事件 iの遠近法的倒錯』・佐藤正午『ジャンプ』

仕事とあたしのどっちが大事なの、と女性に言い寄られ、窮地に陥った経験を持つ男性は多いだろう。そういった厳しい質問に対して明確な答えを返すのは難しく、できれば先延ばしにしてしまいたいものである。佐藤正午『ジャンプ』は、答えを先延ばしにしたために永遠に回答の機会を失った男の物語である(オリジナル単行本は二〇〇〇年刊)。男性諸氏は我が身を振りかえり...

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小説の問題vol.56 「存在の耐えられないお安さ」 戸梶圭太『トカジノフ』『トカジャンゴ』・姫野カオルコ『整形美女』

小説の問題vol.56 「存在の耐えられないお安さ」 戸梶圭太『トカジノフ』『トカジャンゴ』・姫野カオルコ『整形美女』

※なぜか2002年10月号の「問題小説」が見当たらなかったので、1号飛ばして11月号の原稿を掲載する。 小糠三合持ったら婿には行くな、という言葉がある。つまり少しでも財産があるなら入り婿になどなるな、という戒めである。基本的にわが国の近世近代は男系社会だったからこういう差別的な表現がまかり通っていた。しかしながら「小糠三合」という表現は...

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小説の問題VOL.54 「本のお買い得度」 高橋克彦『ゴッホ殺人事件』・水木しげる『ほんまにオレはアホやろか

小説の問題VOL.54 「本のお買い得度」 高橋克彦『ゴッホ殺人事件』・水木しげる『ほんまにオレはアホやろか

書店の棚を眺めていたら、西原理恵子『サイバラ茸』(講談社)が出ていた。これは『恨ミシュラン』などの西原本から漫画だけを抜き出して編んだ本だ。もともと西原本については、文章をまったく読まず、漫画だけを読むという読者が多かったはず(私はそう)だから、これはとても合理的な本である。しかし既刊もある漫画を読むためだけに一冊千八百円の単行本か、と割りき...

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