杉江松恋不善閑居 南浦和「ゆとぴやぶっくす」と古本まつりでのマナー違反

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某月某日

午前中に「これってSF?」の動画を収録、処理が終了したのを確認して外出する。

午後にさいたま市で取材の予定があるのだが、ちょうど所沢駅前で彩の国古本まつりが開催されて初日なので、覗いてから行こうという算段である。いつもはもう少し遅く行くのだが、初日の昼過ぎなので人が多い。こういう古本まつりは初日の開始直後に行かなくてはならない。遅く行って何もなかった、というのは単なる怠慢である。午前10時の開始と同時ではないが、大きな会場なのでこのくらいに来られれば上出来だろう。

とりあえず棚を見て歩く。私の見方は棚に並行して歩いて列を頭からお尻まで歩き、裏側に行って引き返すということを繰り返すものである。時間があれば往復して見られるのだが、彩の国古本まつりは規模が大きいので一方向に見るだけでも1時間はかかる。やむなく一語一会のつもりで棚の間を歩いていく。

古本即売会で迷惑な客は、平台の上に物を置くやつだ。自分の荷物を置くのは論外である。買っても買っても本がダブる地獄へ墜ちろ。買ったものを載せるのはまだ同情の余地がある。重いだろうからだ。しかし、この彩の国古本まつりでは買い物籠の準備がある。そこに入れて床に置けばいいだろう。次からは気を付けるのだぞ。

昨日見て最悪だったのは、肘つきおやじだ。なんと、平台の上に両肘をつき、手にした本を読みふけっているのである。ありとあらゆる意味で駄目だ。

買った本置き客に対しては、近くの本を掘削するという形で注意をうながすことにしている。そうやって本の山近くを見たいという意思表示をするとだいたいどいてくれるのである。しかしこの肘つきおやじは度し難い。何をしてもどきそうにない。全盛期の天龍源一郎が現れてダイビングエルボーを背中に見舞ってくれないものかと思った。仕方がないのであきらめて次へ向かう。おやじ、どんな本を買ってもすべて落丁だとわかる呪をかけておいたぞ。

結局購入したのは木津川計『編集長のボロ鞄』一冊。『上方芸能』編集長の著書で貴重だが、ダブりである。いいのだ、誰かいるだろう。駅に向かい、西武新宿線で隣の秋津へ。ここで新秋津駅から武蔵野線に乗り換える。間が700メートルぐらい空いているのでとぼとぼ歩いていると、意外な古本屋遺跡を見つけた。今は中野ブロードウェイに移転した観覧舎の旧店舗である。念のため階段を上がって前まで行ってみたが、移転した旨の貼り紙がしてあった。そりゃそうだ。しかし移転したのはかなり前だと思うのだけど、こうやって旧店舗を残しているのはなぜだろう。もしかして倉庫兼事務所で使っているのだろうか。

新秋津の駅前にはもう一軒、長い間ご無沙汰している古本らんだむがある。もしかして開いていれば、と思って訪ねてみたがやはりお休みだった。水曜日が定休日、知ってました。

新秋津から移動して某所で某氏に取材。楽しい取材だったので1時間の予定がちょっと超えてしまう。駅まで戻ってきて解散。それで気が付いたが、南浦和駅前には新鋭・ゆとぴやぶっくすがあるではないか。開店前のプレオープンイベントで行ったきりである。ひさしぶりに足を運んでおかなくては。

ということでやってくると、無事に営業をしている。よかった。以前来たときは本格開店前ということでだいぶ棚にも空間があったのだが、みっしりという感じで埋まっている。読書会なども主催されて、元気に営業しているようだ。よかった。最近になって新刊の扱いも始めたようで、5月末まで新刊と古本を一緒に買うと100円引きというキャンペーン中だった。だから、というわけではないがミニコミ誌の『文芸紊乱』を買う。新進気鋭の作家ばかりを集めたアンソロジーで、日本文藝家協会の編纂委員としてはどこかで買わねばと思っていたのだった。一緒に買ったのは東京スポーツ新聞刊の『プロレスおもしろマッチ50』。ネット以前の、世界のマット事情がちゃんと伝わってこなかった時代の本で、目を通すとなかなかに楽しい。

京浜東北線で帰宅。送稿はできず、新しい企画提案もしていないのだが、実はけっこう重大な仕事の打診があった。受けるかどうかまだわからないので、まだ保留である。なので本日の勤務評定は-1.0ということになる。

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