杉江松恋不善閑居 自粛生活16日目「本の帯を捨てますか」

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私の帯のしまいかた。

4月23日

本に関するアンケート、昨日で書店編が一段落したので読書編に切り替えた。お題は「本の帯を取っておくか」。回答数は564だった。

「買ったときと同じ状態で本に巻いておく」56.9%

「折ってページに挟んでおく」19.9%

「折り目がつかない状態で本に挟んでおく」6.2%

「なくなっても気にしない」17%

巻いておく派が意外に多く、半数を超えていた。そうなのか。

ひとみさん「買ったときの状態で巻いていますが、傷んでいるときは捨てることもあります。新刊で帯が微妙に切れていたり褪せているとちょっと嫌です」の、一応保存するがへたってきたときは捨てることもあるという趣旨のお答えが多いのかな、という印象だった。買ったときのまま派の心情を代弁するのはLenoaさん「買った時と同じ状態に一票です。不精なのもあるのですが、帯は文言やデザインが変わるので見ると買った時のことを思い出せるというのと、帯の推薦文が気に入って買った本もあるからです」というご回答だろうか。単行本は取っておくが帯は捨ててしまう、という声も多かった。

本の作り手である藤原編集室さんからは「基本的には外して捨ててしまいますが、取っておきたいもの(デザイン的に、情報的に)は、折って本にはさんでおきます。本を作る立場からすると、帯の役割は広告なので、買っていただいたところで任務完了。個人的には本棚に収める時には外してほしいのが正直なところ。(読者の勝手ではありますが)」「カバーとセットになっているデザインもありますので、一概には言えませんが。和田誠さんは、帯は出版社(営業・広告)のもの、という考えから帯のデザインはしませんでしたね」というご回答をいただいた。そうなのである。帯の役割第一は広告なのだ。だから何か話題になると増刷が間に合わなくても帯だけ巻き替えということもある。

私はこの中では一番少ない「折り目のつかない状態で挟んでおく」派で、これはなぜかというと、しおりのアンケートのときに書いたように、両手で本を持ってだんだんページを狭めていく読み方をして、帯に二か所のしおり機能を持たせるからである。その流れで本をしまうと自然に写真のようなことになる、というわけ。でもしおりにしているうちに帯を失くしてしまうことも多いのだけど。

ただ、旧い本についてはなるべく帯は大事に保存する。そこに思わぬ書誌情報が含まれていることがあるからだ。藤原審爾『新宿警察大全集』を電子書籍で編纂したときは、この帯につけられているキャッチや、テレビドラマ放送についての情報にだいぶ助けられた。だからなんでもかんでも雑に扱っているわけではないのである。書評家同士で「本は持っているけど帯がないのでちょっと貸してもらいたい」というような頼み事をすることもある。

この帯問題については意外な意見が多かったので、引用しておきたい。

まず、意外に多かったのが、

山田英春さん「棄てることが多かったんですが、ある編集者から本表紙に巻いてその上にカバーをかけるという目からウロコの案を聞き、それはいい!と」

のご回答。もっとも山田さんご自身はこの方式の実践者ではないそうだが、同様のお答えを複数いただいた。

帯も幸せだな、という回答。

みさん「外して帯の箱(帯や時には栞を入れてある国語辞典の函)にそのままの形でしまいます ふんわりした形ですぐ溢れるので、定期的に帯を重ねる作業をします その時、この帯はどの本?クイズを一人やります 楽しいです」

この発想はなかった。他にも帯だけ箱に入れて保管しているという方はいらっしゃったのである。もう一つ、似たご回答。

榎本(崩壊堂)さん「スクラップブックに貼っています」

実際に写真まで送ってくださった。これは愛書家の形を突き詰めた例ではないかと思う。

自粛生活16日目。

午前中は仕事用の読書に徹し、午後になってさて他のことを、と動き始めたときに連絡があり、本日4月中で唯一のどうしても出かけなければいけない日であったことに気づく。いや、出かけなければいけない用事は忘れてなかったが、明日だと思い込んでいたのだ。危ない危ない。慌てて関係各所に連絡をとり、出かける支度を済ませる。濃密接触しないように気をつけて、これを書いたらちょっと行ってきます。ではまた明日。

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