杉江松恋不善閑居 自粛生活36日目「大型本をどうやって置いてますか」

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

学芸大学・流浪堂が営業再開していたのだ。

5月13日

本に関するアンケート、前回のお題は大型本をどのように棚に置いているか、だった。大型本の定義には迷ったのだが、A4以上とした。B5以上にすると薄い本のお話になりそうなので。回答数は290。

「普通サイズ(四六版)本の上に寝かせておいている」7.2%

「普通サイズ本の棚に横向きなどで置いている」20%

「大型本専用の棚がある」57.2%

「大型本は棚に入れず別扱いで置いている」15.5%

設問からして専用棚がある、が1位になるのは当然といえば当然なのだが、たとえば小説などを中心に読んでいる人は、一回り以上判型が違う大型本の処遇に困っているのではないか、というのが質問の原点であった。この設問の流れはそのまま子供時代から今に至る私の本棚の流れなのである。

最初は大きくても単行本程度の判型だが、次第にそれより大きな雑誌やムックなどを所蔵したい欲求が出てきて、仕方がないので本の上に寝かせるようになる。何しろ本棚は親からもらったもので、頑丈なのはいいが棚板の調整が効かないため、大型本を縦に入れられなかったのである。それが溜まってくると他の本の上に寝かせるだけでは済まなくなって棚の上に積むようになる。さらに増えてきてついに従来の棚から独立させ、机上などに別の大型本コーナーを設けるが、そんなものでは足りなくなり、最終的には押し入れに大型本の収納を作った、というのが実家にいたころの私の対応であった。そんな風な変遷をたどっている方、他にいらっしゃいませんか。

さて、大型本専用棚があるという回答に、意外なほどカラーボックスの活用を挙げられる方が多かった。ニケさん「カラーボックスがちょうど大型本の大きさなのでそれ使ってます」、高橋弥生さん「カラーボックスを横向きに置いて、それを大型本や雑誌の棚にしています」、その他の方から同様の回答をいただいた。また、多かったのは複数ある棚の一段を抜いて、大型本に当てるという回答である。最上段派と最下段派があったが、後者はたぶん地震対策を考慮していると思うので個人的にはそちらに軍配を上げたい。みさん「先ず最下段に大判の図録や建築系雑誌を置いてから棚板を設置、次に四六判の建築系書籍を置き棚板を設置、と下から攻めたところ、最上段が文庫サイズしか残らず翻訳ミステリを収めることに。こうして私の分類愛は敗れたのでありました」の回答ごもっともで、大型本を交えての調整はいつも難しいものなのである。

円堂都司昭さん@『ディストピア・フィクション論』さん「専用の棚は少ししか設けられないので溢れたぶんは壁に立てかけて床に置いたりする。1冊置くとなんとなく隣に並べてしまうから気づくとそこが大型本コーナーになっている。気を確かに持たなければならない」

そうですなあ、気を確かに持たなければいけない。

こういう仕事をしていると大型レファレンス本が増えるので、仕事場にもそれに特化した本棚を2台入れた。そこに大型本の棚を作ったのだが、いつのまにか東方Projectの同人誌に支配されてしまっているのは内緒だ。

自粛生活36日目

緊急事態宣言解除検討が始まるなど新型コロナウイルス禍もそろそろ終わり、という空気があり、営業を再開する商店が増えるなどふんわりと緩んだ感じになってきている。しかし、駅前でガールズバーが営業を始めたのを見たのだが、それはいくらなんでも早いような。クラブで大量の感染者を出した韓国の二の舞にならないといいのだけど。私としては6月の木馬亭定席が予定通りに始められればもう何も文句は言わないので、それまでは気を緩めずにしっかり拡散防止対策をしてもらいたいのである。

所用あって学芸大学駅前まで行ったところ、なんとあの流浪堂が営業を再開していた。よくぞご無事で。レジ前に「このミステリーがすごい!」大賞作家・乾禄郎の新刊『ドライドックNo.8 乾船渠八號』が置いてあったのでちょっと意外に思う。これは乾が水族館劇場が新宿花園神社境内で行う予定だった野外公演のために書き下ろした脚本なのである。コロナ禍のために影響を受け、結局中止に追い込まれてしまった。レジにいた店主に聞くと、実は水族館劇場の関係者でもあるのだとか。流浪堂のFacebook過去記事を見ると、なるほどたしかに公演のお手伝いに出かけている。世間は狭いものである。別の本を買ってしまったのでそれは購入しなかったのだが、今度乾本も流浪堂でいただくことにしよう。

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存