杉江松恋不善閑居 比較的忙しかった嵐の前の一日(デッドラインまであと61日)

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某月某日(デッドラインまであと61日)

来週までの〆切:レギュラー月刊×1、レギュラー隔週×2、レギュラー週刊×2、イレギュラー×1、文庫解説×1。

来週の予定:演芸会主催×7、演芸会出演×3。

動画収録予定:今月はあと4本。

書き下ろし:ProjectMT、ProjectTK、ProjectTS。

前の日記に書いたとおり、書き下ろし1本と東方の同人誌2本の〆切を同時進行させながら2ヶ月を乗り切らなければならなくなった。かつ、自分の主催する演芸会の運営もしなければならないし、YouTube用の動画も録るし、もちろん日々の〆切もある。本当に自分は大丈夫か、乗り切れるのか、と心配になって頭を抱えたが、冷静になってスケジュールを組みなおしてみることにした。

午前10時、品川駅高輪口にあるルノアールで編集者と打ち合わせ。書き下ろし本の担当である。本の刊行から逆算してスケジュールを書いてみたら、9月一杯で本文の原稿ができていれば念校まで取れる形で進められることがわかった。紅楼夢の〆切は本文入稿10/11なので、それだったら書き下ろしをいったん終わらせた後で10日ぐらいで同人誌原稿を完成させられる。書き下ろしのほうは執筆しているうちにわからないことも出てくると思うが、それは初校で直せばいい。それでいこう、と編集者と取り決めて品川を出た。11時。これから移動して横浜の蒔田まで行く。

午前12時、市営ブルーライン蒔田駅の近くにある薩摩琵琶奏者・荒井靖水さんの事務所にお邪魔する。初めての人向けに、荒井さんが琵琶の体験教室をやっておられるのだ。以前開催された「びわづくし」という会がきっかけで荒井さんとはSNSでつながっていた。その縁である。琵琶に触れるのは初めてで、何もかもが新鮮だった。

ここに来たのは翌週に三つもある琵琶イベントのためである。主催して聴いてもらうのに、主催者が琵琶についてまったく知らないのでは申し訳ない。泥縄式であるがちょっとでも勉強できてよかった。その成果が反映されるかどうかはわからないが、琵琶イベントよかったらお越しください。

午後1時、荒井さんの事務所を出て今度は京急井土ヶ谷駅へ。これから都内にまた戻る。創元推理文庫〈日本ハードボイルド全集〉最終巻の『傑作集』がいよいよ発売になるので、急逝した北上次郎さんの墓前に供えて報告するためである。

午後2時30分、巣鴨駅に到着。すでに編集Mさんが来ていた。少しして日下三蔵氏も到着。お墓はここから歩いて10分ほど離れたところにあるということで連れだって出発する。

残暑が厳しく汗がだらだらと出てくる。思ったよりも遠いので、一緒に歩いている日下三蔵が心配になってきた。というのも先々月末、日下氏は脳梗塞で入院したからだ。ちょうど『傑作集』の解説を書いている時期である。比較的軽症だったようで入院先の病室から五月雨式に原稿を送ってくるので逆に心配になり、療養を優先してくださいと私は頼んだくらいだった。

それにしてもこの暑い最中を歩かせるのは病み上がりには大変だろう。はらはらしているうちにお寺に着き、無事に北上さんの墓を見つけることができた。文庫本を備えて手を合わせる。

午後4時。巣鴨駅近くまで戻って喫茶店で体を冷やした。日下氏、M氏、私で少し話して1時間弱でお開き。ここから私はさらに移動する。

午後6時。都営大江戸線光ヶ丘駅に到着。駅と直結した商業施設の五階にリブロが入っているが、その横で古本市を開催中なのである。明日から古本屋に行っている時間もなくなるなあ、などと思いつつ西条昇『笑伝・三波伸介 びっくりしたなあ、もう』、夢路いとし&喜味こいし『浮世はいとし人情こいし』、三浦和義『不透明な時』など購入。これで千円は安かった。

午後7時、帰途に就く。SNSを見ると、早川書房主催の第14回アガサ・クリスティー賞募集要項が発表になっていた。すでにご覧になった方があるかもしれないが、今年から私が最終選考委員に加わることになった。亡くなった北上さんの代役である。しまった、そのことも墓前で報告すべきであった、などと思う。

午後8時、帰宅。届いていた『本の雑誌』10月号を見ると、日下氏が連載で私のことも書いていた。メールチェックなどをして早めに就寝するが、日本推理作家協会で理事をご一緒している三橋暁さんから急を要する案件の連絡が入っていて、少しだけ考え事をする。睡魔に負けて寝る。

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