杉江の読書・ディーノ・ブッツァーティ『古森の秘密』(長野徹訳/東宣出版)

イタリア史において1925年は、ベニート・ムッソリニーニが国家統領に就任した年として記憶される。ディーノ・ブッツァーティはそのイタリアで生まれて1927年に作家デビュー、1935年に初期の代表作『古森の秘密』(長野徹訳/東宣出版)を発表した。物語はムッソリーニの独裁が完成した1925年の春に始まる。退役軍人セバスティアーノ・プローコロ大佐が、叔父アントニーオ...

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杉江の読書・ペーター・シュタム『誰もいないホテルで』(松永美穂訳/新潮クレストブックス)

杉江の読書・ペーター・シュタム『誰もいないホテルで』(松永美穂訳/新潮クレストブックス)

 スイスの作家ペーター・シュタムの短篇集『誰もいないホテルで』(松永美穂訳/新潮クレストブックス)には10篇が収められている。表題作は、仕事のためにホテルに籠ろうとした〈ぼく〉の奇妙な体験を描くものだ。さんざん山道を彷徨ったあげくにたどり着いたホテルで彼を出迎えたのは、客を待たせたまま食べかけのラビオリをむしゃむしゃと平らげる女性・アナだった。部屋のシャワー...

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落語会レポート 新宿末廣亭8月下席で自由闊達な79歳にうっとり。

落語会レポート 新宿末廣亭8月下席で自由闊達な79歳にうっとり。

新宿末廣亭八月下席 20160826 8月に入ってから1回も寄席に行けてなかったので、仕事の切れ目を見つけて強引に昼席に出かけた。前座の途中から間に合って、そのまま4時間半を桟敷席で楽しんだ。時間あたりの単価に直すと安いものだと思う。予告の出ていた五明楼玉の輔は春風亭勢朝、桃月庵白酒は隅田川馬石とそれぞれ代演が出た。白酒さんは新刊が出たこともあってぜひ...

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落語会レポート「第67回人形町らくだ亭」でチャーミングな幽霊に心を射抜かれる

落語会レポート「第67回人形町らくだ亭」でチャーミングな幽霊に心を射抜かれる

「第67回人形町らくだ亭」日本橋公会堂20160825 予告が出たときから絶対にこれは行かなければと思っていた会である。小学館のサライ編集部が後援する形で続けられている会であり、レギュラー制をとって長年続けられている。八代目桂文楽の弟子・柳家小満ん、五代目柳家小さんの弟子・柳家さん喬、十代目金原亭馬生の弟子・五街道雲助、五代目春風亭柳朝の弟子・春風亭一...

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落語会レポート 「ラクジョepisode.9」で思わぬ拾いもの20160824

落語会レポート 「ラクジョepisode.9」で思わぬ拾いもの20160824

「ラクジョepisode.9」ミュージックテイト西新宿店 20160824 8月は中旬に台湾旅行をしたため、その前は仕事を片付けるので手一杯になってしまい、ほとんど落語会に行けなかった。身体の落語成分が危険なほど減少しているので、ちょっと回復させたいと思う次第です。 24日は月例の「立川さんちの喫茶★ゼンザ」が昼間あったのでそちらに顔を出していた...

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BIRIBIRI寄席通信「立川さんちの喫茶★ゼンザ」#13

BIRIBIRI寄席通信「立川さんちの喫茶★ゼンザ」#13

2016年8月24日(水)落語立川流前座勉強会「立川さんちの喫茶★ゼンザ」#13 新宿5丁目のCAFE LIVE WIREでは月に1回、落語立川流の前座さんに場所を提供して、勉強会を開いてもらっている。1ドリンクつきで700円という破格の値段で3時間落語を聴ける場として、常連のお客様もぼちぼちついてきた。未来の真打を応援するつもりで、細々と続け...

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BIRIBIRI寄席通信「談慶の意見だ」#12

BIRIBIRI寄席通信「談慶の意見だ」#12

8月19日(金)19時開演 立川談慶独演会「談慶の意見だ」#12 落語立川流にはお世話になっているBIRIBIRI寄席だが、特に談慶さんには初期のころから独演会でご出演いただき、大事な会として育てていただいてきた。「どこにもない落語会を実験的にやる場にしたい」とおっしゃっていただき、著書『談慶の意見だ』と同じタイトルもつけてくださったので...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA5

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA5

8月18日。台湾五日目、帰国予定日である。といっても飛行機が飛ぶのは21時近くだから、まるまる一日空いている。LCCを利用したので、羽田空港発着でお安い代わりに便が全部遅い時間なのだ。 この日は妻と相談して、別行動にさせてもらった。台北市内には日本の秋葉原よろしくアニメや漫画関連のグッズを売っているショップが密集している地域がある。数年前に来た...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA4

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA4

台湾滞在も四日目に入った。8月17日である。 妻は見逃した場所もあるとかで北投散策に出かけていったが、私と子供は惰眠をむさぼる。昼近くにチェックアウトできるホテルなのである。大浴場もあり、貸し切り状態だったのでゆっくりつかったあとで、敷きっぱなしの布団でゆっくり眠った。温泉旅館に来たら、せかせかせずに休養しなくちゃね。 ホテルを出てMRT...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA3

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA3

台湾滞在三日目の8月16日である。 台南を離れ高速鉄道で北上する。台北駅までは1時間40分、そこからMRTの淡水信義線で約20分、北投駅で降りて新北投線に乗り換え、6分ほどで終点の新北投駅に着く。 北投は清朝末期にドイツ人によって有望な源泉ありと見出され、その後の日本統治期間に保養地として開発された観光地である。地熱谷という源泉か...

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