杉江松恋 一覧

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・石巻「石ノ森萬画館」と仙台「昭文堂書店」

「若林君、今から帰ると僕は二十三時くらいに家に着きますよ。君の場合は何時になるか教えてほしいかい」 「いいですよ。だいたい見当がつきますから。まあ、飲み過ぎて終電コースというところじゃないですか」 「だよねえ。ちなみにさ、それは昨日と同じで東北本線で帰った場合だよ。もし福島で常磐線に乗り換えたとするとだねえ」 「なんでわざわざ常磐線...

記事を読む

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・仙台「萬葉堂書店鈎取店」

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・仙台「萬葉堂書店鈎取店」

青春18きっぷが使える時期になると、それを使っていずこかに遠出をするのが恒例になってきた。夏は関東と東海を巡ったので、次は北へ行くのである。 年末年始の書評家などは暇なものだ。十二月下旬に配本される書籍というのは少なく、ということは主だった仕事は上旬には終わってしまうわけである。青春18きっぷを使える期間は十二月十日からだから、これは自分のため...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.46 新倉典生『正楽三代 寄席紙切り百年』

芸人本書く列伝classic vol.46 新倉典生『正楽三代 寄席紙切り百年』

寄席に行くと15~20分の持ち時間をもらってさまざまな芸人が出てくる。落語家以外の芸人を色物と呼ぶが、その色物と落語家が上手い具合に配置されて登場する。必ず決まっているのは膝代わりだ。中入り後に最初に出てくるのが「喰い付き」、その後一人「膝前」を挟んだりなかったりもするが「トリ」を務める落語家の前に登場するのが「膝代わり」の芸人だ。ここは必ず色物の芸...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.45 藤原周壱『前座失格!?』

芸人本書く列伝classic vol.45 藤原周壱『前座失格!?』

すべての人間が夢を叶えられるわけではない。 天に輝く星があれば、その高さから墜ちた流れ星の数はもっとある。 さらに言えば、星の高さまで届くこともなく燃え尽きた者の数はその数十倍にも達するだろう。 芸人本の中にはそうした「星に届かなかった者たち」が自らの人生について綴ったものも多く存在する。実名を出して恐縮だが、秋山見学者『たけしード...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.44 三田完『あしたのこころだ 小沢昭一的風景を巡る』

芸人本書く列伝classic vol.44 三田完『あしたのこころだ 小沢昭一的風景を巡る』

初めてその番組を聴いたのは床屋だったと記憶している。 時刻は夕方。床屋の待合席には普段買ってない週刊漫画誌が置いてあったので、込んでいるのをこれ幸いと座りこみ、順番になって呼ばれないように、と祈りながらそれを読んだ。当然ながら自分の番が来たときにはすでに外が陰り始めており、夕暮れ時の空を床屋の鏡の中で眺めながら髪を刈られた。 そのとき、不...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.43 本坊元児『プロレタリア芸人』

芸人本書く列伝classic vol.43 本坊元児『プロレタリア芸人』

またもや休載が続いたあとの原稿らしい。その間の記憶があまりないので詳しくは書けない。 =========================== 二ヶ月のご無沙汰でした(宮田輝の声色で)。 いや、四号も休載してしまい、申し訳ありませんでした。その間、芸人本をまったく読んでいなかったわけではないのですが、なかなかタイミングが合わず。そのう...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vo.42 三遊亭圓歌『三遊亭圓歌ひとり語り 全部ウソ。』

芸人本書く列伝classic vo.42 三遊亭圓歌『三遊亭圓歌ひとり語り 全部ウソ。』

私と同じぐらいの世代で、十代のときに寄席出入りをしていた人は、三遊亭あす歌という音曲師のことを懐かしく思い出すことがあるはずだ。 こんな小汚い小屋(失礼)に、なんであなたのような人が! と驚いてしまうほどの、はっとするほどの美人で、三味線を抱えて座ったところになんとも色気があったものである。高座に出てくるとあす歌は、俗謡を一つ唄ってみせたあとで...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vo.41 立川談幸『談志狂時代 落語家談幸七番勝負』『談志狂時代2 師匠のお言葉』『談志の忘れもの 落語立川流噺』

芸人本書く列伝classic vo.41 立川談幸『談志狂時代 落語家談幸七番勝負』『談志狂時代2 師匠のお言葉』『談志の忘れもの 落語立川流噺』

2014年12月6日、twitterに一つのツイートが投じられた。落語立川流の古参・立川左談次(2018年死去)が以下のような発言をしていたのだ。 「立川談幸一門(吉幸・幸之進)が本年末をもって立川流退会、芸協入り決定! 因みに私は静かに円満に理事辞任を了承されております(笑)。」 立川談幸が弟子2名と共に...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.40 立川談春『談春 古往今来』

芸人本書く列伝classic vol.40 立川談春『談春 古往今来』

これは「水道橋博士のメルマ旬報」50号に書いたものらしい。50号で10回抜いたのか。意外とサボっている。最近はサボらずに毎号書いているのだが、当時は月2回連載なので少々疲れていたのではないかという気がする。この内容だと月1回がやはり適切なペースだ。 ======================= 月並ですが、「メルマ旬報」50号おめでとう...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.39 壇蜜『壇蜜日記』

芸人本書く列伝classic vol.39 壇蜜『壇蜜日記』

普段は芸能人のげの字も口にしない知人が「『壇蜜日記』はすごいよ。壇蜜って頭いいんだなあ」と言っている場面に出くわした。一度ではなく三度も同じことがあったので、世の中年男性のうちかなりの数がそう言っているのではないかという結論に達したのである。 『壇蜜日記』はすごいよ。壇蜜って頭いいんだなあ。 「壇蜜って」と「頭がいいんだなあ」の間には「本...

記事を読む

1 101 102 103 104 105 106 107 118