名探偵と学ぶミステリ
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杉江松恋不善閑居 世の入門書の問題点は、お勉強しなければならないところだと思う。
某月某日 『名探偵と学ぶミステリ』の話つづき。 この本を世に出すことになったきっかけは、阿津川辰海さん・斜線堂有紀さんとの鼎談でも話しているので繰り返さない。ミステリーにも初心者向けの入門書があるといいな、とは昔から思っていた。 なんべんも書いているとおり、念頭に置いていたのは藤崎誠(瀬戸川猛資)『世界名探偵図鑑』(立風書房ジャガーバックス...
杉江松恋不善閑居 定義が共有可能な場合にのみジャンルは意味を持つ
某月某日 単語ではなく文章で考えるということ。 その大事さを最初に意識したのは、大学時代のゼミにおける議論だった。その日、卒業論文執筆に向けての発表を一期上の四年生が行ったのだが、一人の内容に対して指導教官が厳しい意見を述べた。 発表はいわゆる母原病に関することで、現代の宿痾はすべて母子関係の歪みにあるという主張だった。指導教官からの指摘は...
杉江松恋不善閑居 ジャンルにこだわることに意味はない
某月某日 『名探偵と学ぶミステリ』のことをちょっと。 この本のガイド部分は『ハヤカワ・ミステリマガジン』連載に二章分を加えた内容になっている。ミステリーを初心者に薦めるときにいつも疑問を感じるのが、「本格」「ハードボイルド」といったサブジャンルで作品を分ける必要があるのか、ということだった。 「本格」にも「ハードボイルド」にも、かっちりとし...
杉江松恋不善閑居 木馬亭三月公演二日目&『名探偵と学ぶミステリ』発刊記念イベントやりたい
某月某日 昨日は木馬亭三月定席二日目だった。今月は予定が立て込んでいてなかなか足を運べないので、行ける日には全部の口演を聴いておきたい。急いで出かけたのだが開口一番の天中軒かおりに間に合わなかった。二番目の天中軒すみれは、4月2日が入門記念日とのことで、この日から8年目に入る。中入の広沢菊春も同じく4月で15年目、モタレ(トリの前)の花渡家...
杉江松恋不善閑居 新刊『名探偵と学ぶミステリ 推理小説アンソロジー&ガイド』のお知らせ
某月某日 このところかかりきりになっていた新編著が、先週末にようやく下版したのでお知らせします。 題名は『名探偵と学ぶミステリ 推理小説アンソロジー&ガイド』です。 ガイドの部分を先に。『ハヤカワ・ミステリマガジン』に連載していた「初心者のためのミステリ入門」4回に新稿を加えたもので、〈探偵〉〈トリック〉〈推理〉〈プロット〉といった...