杉江松恋不善閑居 志賀本通・千机書房

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某月某日

東海行の最後。

長谷川書房を出て、桜通線瑞穂運動場西店まで戻る。地下鉄で久屋大通駅まで行き、名城線に乗り換える。数駅行って、志賀本通駅で降りた。ここにいくつか古本屋があるのである。

駅から出て、通りを南下していく。雨はまだまだ激しく降っていて、傘を持つ手もじんわりと湿っている。古本屋に行くには最低の日ではある。

間もなく見えてきたのが、千机書房だった。以前からツイッターでは相互フォローの関係にあり、一度は訪れてみたいと思っていた。雨なのでどうかと思っていたが無事に営業している。よかった。雨だからお休み、という店、この業界には結構多いのである。

中に入ってみると、居心地よいセレクトショップのような店内であった。左右と奧に棚があり、右側は文学や文庫など手に取りやすいもの、左側と奧は詩集・歌集や人文科学書が多いという印象だった。ここは詩歌や郷土本に強いのが売りの古本屋なのである。その郷土本関連は中央にゾーンがあり、しげしげと見入った。尾張万歳に関する本と、大須を中心とした名古屋の芸能興行について触れたものを探し続けているのだが、なかなか見つからない。名古屋は大空襲を経て一旦は焼け野原にされてしまったので、戦前の記録を探すのは望み薄なのかもしれない。

勘定をしてもらう際に、素性を明かして挨拶をした。金土日と週末を中心とした営業形態とのことなので、探訪される際はご注意を。

外に出て、近くにあるまなみ古書店へ向かった。古民家を改装したアートギャラリーとカフエも併設された古本屋、とのことだったのだが、残念ながらイベント参加ということで空いていなかった。それは仕方ないのだが、気になるのは千机書房からまなみ古書店へ向かう途中で見かけた店だ。どう見ても古本屋で、本やCD・DVDの買い取りをするという掲示がされている。このときは不在のようで中には入れなかったのだが、いったい何という店なのだろうか。どこにも店名表示がなくて、わからなかったのである。

謎の古本屋

考えられるのは北区にあるはずの伊東古本店だ。ここは通販専門で無店舗営業だから、買い取りだけの事務所ということも考えられる。だが、日本の古本屋に登録されている住所は微妙に異なるのだ。あるいは、そちらは自宅で、こちらが事務所ということだろうか、などと考えながらホテルへ向かった。

翌日は東方名華祭である。少し早めに切り上げて帰京、立川談四楼さんの北沢独演会に、元弟子の港家小蝶次が出演するのである。ひさしぶりの師弟対面を見て、帰宅。密度の高かった東海行もこれでおしまい。

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