岐阜~富山行の続き
午前10時に富山駅からあいの風とやま鉄道に乗り、高岡駅へ向かった。高岡駅から万葉線に乗り、片原町駅で降りて数分の場所にある、文明堂書店に行くのだ。
片原町駅からの道は、高岡大仏のある大佛寺への参道にもなっていた。道からも高岡大仏が見える。そこからアーケード商店街に入ってすぐのところにあるのが文明堂書店だ。
非常に品のいい古本屋で、仏教書や美術書などが充実していた。間を棚で仕切られた、ごく一般的な古本屋の作りである。まだ開店したばかりなので、客は私一人であり、のんびりと見て回ることができた。その日のうちに読む新書を一冊購入する。
文明堂書店を出て元の片原町駅へ戻った。高岡駅まで戻って氷見線に乗り、伏木駅まで行こうと思っていたのだが、ここで列車を乗り逃がしてしまったことに気づいた。目指す場所は伏木駅から徒歩10分くらいの場所にある古本なるやなのだが、次の列車まで1時間くらい待たなければならない。無いものは無いので仕方ないから、早めの昼食でも摂ろうか、と思って動こうとしたときに気が付いた。もしかするとバスがあるのではないだろうか。
調べてみると大当たりである。古本なるやの近くまで行けるバスがあった。しかもすぐの発車である。喜び勇んでそのバス、おそらくは伏木西循環に乗車した。
もっともこのときは私が下りるべき停留所を勘違いしていたらしく、15分ほど歩くことになってしまった。最も近い停留所は伏木中央町で、わずか数分の距離である。このときは東京に帰る日だったのでスーツケースを引きずっていた。夏の暑い最中、アスファルトの上をそうやって歩いていくのは結構な難業である。
ようやくたどり着いた古本なるやは、路地の少し奥まったところにあった。ここに古本屋があるとは、知らなければ考えないような場所だ。
店の前まで来て驚いた。中からエレキギターの音がするのだ。どうやら、二人くらいでセッションをしているらしい。もしかするとまだ営業時間ではないのかもしれない、という考えが頭をよぎったが、ホームページには13時開店と書いてあるし、入ってしまっても問題ないだろう、と判断した。こちらも東京に帰らねばならない身で余裕がないのである。
扉を押し開けて入り、声をかけるとギターの音は止んだ。どうやら店主らしい人ともう一人で演奏していたらしい。店内は奥行きがあって、過ごしやすそうな空間だ。壁際や室内にある棚は背が低く、天井も高く感じる。文学系や美術書に見るべきものが多く、特に海外文庫はなかなかの品揃えだった。戦前の本などもあり、見飽きないのでゆっくりと眺める。とはいえ、それほど時間はないのである。古本ブックエンド2号店が17時には閉まってしまうからだ。富山市内まで引き返すのにどれくらい時間がかかるかわからないので、早めに切り上げることにした。
文庫を何冊か持って行って勘定をしてもらう。古本なるやはもともと別の場所にあったらしく、2024年1月1日の震災を機に現在の場所に移転したのだそうだ。ホームページを見ると人と人のコミュニケーションを重視する店主の姿勢が語られており、この店を文化拠点にしゆようと務めていることがわかる。地元の人にとっては重要な意味を持つ場所になっていくのだろう。
店から伏木中央町の停留所までは本当にすぐだった。バスを待つが、なかなかやってこない。猛暑日であり、陽射しが恐ろしいほどに強かったが、哀しいことに近くにはまったく日陰というものがない。仕方がないのでタオル地のハンカチを頭に載せて、なんとか日射病になることだけは避けようと考えた。こんなことならもう少し店内にいればよかったかもしれないが、バスを乗り逃がしたら困るのである。じりじりと焼かれながらバスを待った。
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