杉江松恋不善閑居 富山・古本ブックエンド

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某月某日

岐阜~富山行の続き。

郡上八幡で郡上おどりを見物して、タクシーで高速バスの停留所まで移動した。ここからバスで飛騨高山まで行くのである。最初は歩くつもりだったが、タクシーの窓から外を見て、あまりの暗さに驚いた。しかも停留所にはクマに注意の掲示まであった。歩くの絶対無理。

バスで1時間ほどで飛騨高山に着いた。その日はもう寝て、翌日の午前中は街中を散策した。飛騨高山駅に海外からの観光客に自国のスペースにシールを貼ってもらうポスターがあった。なぜかイスラエルが上位に入っていて、なぜイスラエル、と不思議に思う。あとで思い出したが、岐阜県八百津町に杉原千畝記念館があるからではないだろうか。

飛騨高山からはバスで白川郷に向かい観光をした。海外からの来訪者も含めて観光客がたくさんいたのだが、後日ケーブルカーの乗り場付近に熊が出たというニューズを見てびっくりした。あんなに人がいるところにも出るようになったのか。

東海地方に散在する屋根神。現役のものを見るのはひさしぶり。

白川郷の合掌造り。このあと豪雨になった。

白川郷からまたバスで富山駅まで行き、東京に帰る家族とはここでお別れ。私はもう一泊して帰るのである。

時刻がもう遅いのでやることがある。総曲輪2丁目にある古本ブックエンドが18時で閉まってしまうのだ。スーツケースを引きずりながらせかせか歩く。富山駅からは20分くらいで着くが、バスを利用してもいいかもしれない。表通りから一本入った道沿いにある。近所にデフォー子どもの古本屋もあるのだが、こちらはもう閉まっていた。

店頭に大きな白い日よけがかかっており、それをくぐって中に入る。一階は正面に帳場があり、その前の棚とぐるりの四囲に書棚がある。文学色が強めだが、入ってすぐ右の郷土本関係も充実しているし、右側の壁にある映画本のコーナーも見るべきものが多かった。また左奥にはサブカルチャーの稀覯書が集まった箇所があり、これは本を見るだけで眼福であった。この一階では宍戸大全『映画・テレビ撮影うらばなし』を発見、四桁だったがこれは買うべきである。必殺シリーズなど時代劇ファンなら馴染みの深い名前だろう。特技などでクレジットされることの多い人で、要するに殺陣師である。著書があったのか。

帳場奧に階段がある。二階に上がって興奮した。人文・社会科学書がずらりと並んだ書棚には兎の毛で突いたほどの隙もない。中央には岩波文庫や新書などがぎっしり詰まった棚があり、ここを見るだけでも時間をとられそうだ。実はもう閉店まで10分を切っているのである。右奥には事件系などの新書が充実したサブカルチャー棚がある。持論だが、新書で掘り出し物が多い古本屋はかなりの実力者だと思う。ここにも芸能の棚があり、梅中軒鶯堂の『浪曲旅芸人』を見つける。もちろん持っているが、日本中の『浪曲旅芸人』が拙宅に集合してもいいのである。

一階に下りて勘定をしてもらった。貼り紙に「古本ブックエンド2号店」が営業再開とあったので、「ここより小さいんですか」と訊いてみたら「いえ、倍ぐらいあります」と驚きの答えが返ってきた。ええっ、2号店のほうが大きいのか。営業日を調べると翌日はやっている。絶対行く、と決意してホテルに向かった。残念ながら行こうとしていた寿司屋は休みだったので、駅前で痛飲。

古本ブックエンド近く、桜木町の風俗店舗。たぶんもう営業していない。

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