杉江松恋不善閑居 旧聞 武庫川・街の草

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某月某日

また古い話題を。昨年11月24日に大阪で天光軒新月と五月一秀の二人会があり、心斎橋の角座まで行ってきた。泊まりの予定だったので、会が終わってからの時間に少し余裕ができた。そこで向かったのが、阪神本線武庫川駅近くにある古本屋、街の草だ。

武庫川駅は川を渡る橋梁の上にある。駅の東に出て、ゆるい坂道をしばらく下っていく。庶民的な中華料理屋などもあり、住みやすそうな駅前だ。しばらくしたら斜めに分岐する道があるので、そこを右に曲がって進んだ先にお店がある。

店頭には均一価格の本を入れた箱が多数置かれており、未整理なのか山になっている本もあるので、遠目で見ても古本屋だとすぐにわかる。

左右の壁に棚がある二の字型の店舗で、奧の一面は右側に帳場があって左側にしか入れない。正面の間口は戸で死角になっている箇所がなく、全面を使って客を迎え入れる体勢だ。特徴的なのは店の中央で、棚ではなく平台が置かれている。芸術新潮などのグラフィック系・大判の本が重ねられており、その周囲をさまざまなジャンルの本の山が囲む。店内で扱わている本の種類は多く、帳場手前の人文科学や芸術書、左側奧の文学書など、棚の見どころが多い。右側の棚に神戸や大阪関連の本が置かれたところがあり、しばらく興味深く見させてもらった。滞在時間は20分くらいだったが、その間店主は話しかけてくるお客を鷹揚に対応していた。町に馴染んでいる古本屋なのだな、と思う。機会があればまた伺いたい一軒だ。(つづく)

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