連休最終日であったが、特に日常と変わることなく業務があった。そういう業種なのである。仕事読書のあと都内某所にて「短いのが好き」「ミステリちゃん」の収録をした。終了後は三人でいろいろと相談する。書評家で食べていこうと思ったら、上からマナが降ってくるのを待つだけでは駄目で、自分から餌場を探しにいかなければいけないのだ。
よく二刀流という言い方をする。あれはAもBも両方一流の人だけに許される肩書で、どっちかはちょっと齧っただけとか、両方とも中途半端という場合には言うべきではない。単に気の多い人というだけの話である。もしくは飽きっぽい。その両方かもしれない。
私はミステリー書評に軸足を置いている人間なのだが、ご存じのとおり大衆芸能も好きなので、そちらについてもちょくちょく読んだり書いたりしている。収入面だけで言えば芸能関係はまだ全然赤字のままだし、何か自慢できるような評価を受けたわけでもない。なのだが、少なくともずっと続けていられているという点だけは自分でも評価していいのではないかと思っている。飽きっぽくはないようなのである。
これまでもいろいろなことをやって、あまりものにならずに終わってしまったが、トークイベントの開催にしろ、書評サイトBookjapanの運営にしろ、何年かは続けることができた。賛同者がいてくださったからこそであり、うまくいかないからといってすぐに投げ出さないという性分のなせるわざだと思っている。こんなことやっていても何にもならない、と捨て台詞を吐いていなくなるのは簡単だ。だが、それをやるのはみっともない。
自分に都合がいいように記憶を改竄してはいけない。私もいろいろやっては失敗して投げ出しているのである。40代までは死屍累々としていて、掘り起こすと恥ずかしい遺物がいくらも出てきそうである。そういう無駄を積み重ねて、ようやく続けることができる体質になってきたとも言える。続けるのには体力がいる。大人じゃないとできないこともある。この商売を始めて30年目でようやくそんな感じの体制ができてきた。どれだけこれを維持できるだろうか。
本日はノルマが最低1本で、午後遅くにインタビューの仕事がある。木馬亭定席の最終日なのだが、残念ながら行けそうにない。