某月某日
土曜日。
浅草木馬亭で「赤坂で浪曲」主催の会が二つあるのだが、午後から別の用事があるので午前の若手勉強会だけ伺った。玉川絹華と三門綾が出演で、曲師は沢村まみである。絹華の「祐天吉松」は大師匠の玉川福太郎譲りで、その惣領弟子である玉川福助とほぼ同じ節回しだ。啖呵の語尾を少し焦る傾向があるのが以前から気になっていたのだが、それはだいぶよくなった。あとは節尻を綺麗に回せるようになったら、というのが課題だと思う。三門綾は年季明けしてかなりよくなった。もともと声は大きいし、明るい。以前はカンの節で無理をして出している感じがあったのが、それもなくなった。よくなりましたね、と伝えたら、どうも調子を変えたようなことを言っていた。合っていると思う。
終わって移動し、日本橋社会教育会館へ。立川寸志「1000人に認められたら真打昇進」の会である。前席が「岸柳島」、後席が「らくだ」だった。ちょっと前に「トリ噺50席」で「らくだ」は聴いていたのだが、そのときは抜けた台詞も入った完全版で、お客さんの感情もコントロールできていた。もうすっかり真打の噺である。
終演後は立川吉笑とのトークを挟んでお客さんの投票集計結果が発表された。前回の公演までで投じられた票が759、1000人までは残り241票だった。この日の投票は178、残り63票で真打である。次回で決定だろう。開催は秋とのことだ。いよいよその時が来る。楽しみである。文化庁の芸術祭が継続していたら、これで申請したら獲れたかもしれないのに。なんでなくなったかな芸術祭。