杉江松恋不善閑居 高円寺「本の長屋」

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某月某日

朝いちばんで編集担当の古翠さんから送られてきたデータをあかつき印刷に入稿、もうすっかり平常営業なので、午前中に香月祥宏さんとやっているYouTube番組「これってSF?」の収録を済ませて、家を出た。東京古書会館で「ぐろりや展」、駅前にて「お茶の水ソラシティ古本市」と歩くも特に収穫はなし。さらに移動して高円寺の西部古書会館にて「西部古書展書心会」に到着、ようやく中川裕朗『古事記オペラ』を300円で拾う。

そういえば高円寺には新しい古本屋ができていたはず、と足を運ぶ。駅から西へ向けて斜めに延びている道には昔都丸書店が面していたが、閉店して久しい。そのまままっすぐ歩くと、クリーニング店のご主人が自身の終活として開かれた店舗がある。しばらく伺ってないが、元気に営業中のようだ。さらにまっすぐ行くと飲食店兼業の「コクテイル」がある。その店主が最近になって空き店舗で始めた棚貸し古書店が「本の長屋」である。

店舗前には均一棚、入ると両側に棚が並び、奥に帳場がある。貸し棚の店は店主の個性で統一されておらず、それぞれの棚の自己主張が肌に合うかどうかで好き嫌いが分かれるのだが、ここは相性がよかったようだ。ただし、しばらく見学しても収穫なしに終わりそうな感じである。あまりついてない一日だったかも、と思いながらもう一度棚を点検していくと、最下部の棚に横山やすし『文句があるなら云うてみい』がある。横山本はすべて集めることにしている。もしかするとダブりかも、ダブりだと思うな、でもここで見逃したら万が一の場合後で激しく後悔するな、よし買おう、という思考回路を巡って帳場へ。500円だった。500円で私は心の平安を買いました。

池袋に引き返して打ち合わせを終え、本日の業務終了。業務というかなんというか。いや、業務である。定期巡回である。

勤務評定はこの日何もできていないので-1.0、さらにちょっとした失敗をしてしまったので-2.0追加で合計-3.0というところだ。そうか、失敗ということも考えなければいけないな。-2.0が妥当か。反省して明日からまたがんばる。

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