杉江松恋不善閑居 自粛生活23日目「ポストイットを本に貼りますか」

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私のポストイットの貼り方。ご覧のとおり、色はばらばらなのである。

4月30日。

毎日実行している本についてのアンケート。昨日のお題は「ポストイットをどう使うか」であった。

「ページの上部に文字を隠さないような位置に貼る」24.1%
「ページの上部に貼るが位置は特に気にしない」11.8%
「ページの上部以外に横や下部にも貼る」14.5%
「ポストイットは使用しない」49.6%

まずびっくりしたのが、ポストイットを使わない人が半分もいたことだ。いや、そんなに驚くことではない。本を読むということは別にポストイットを貼ることと同義ではないからである。書評という本を題材にした文章を手掛けることを生業にしていると、文章の引用などで原文に当たることが頻繁なので、読みながらここは大事、と思った箇所にポストイットを貼りつけるのが習慣になる。でもまあ、貼らなくても本は読めるわけである。そんな当たり前のことを改めて認識したのであった。

設問がこういう形になっているのは、私が「ページの上部に文字を隠さないような位置に貼る」派だからで、使用しているのはスリーエム・ジャパンの透明なポストイットである。貼り方はSchün Ngashさん「透明な付箋を使用、あまり上部に飛び出さないようにしています(本棚に入らなくなるので)」と同じ。長くても5ミリ、場合によっては1ミリ程度しかはみ出さないように貼っている。たくさん貼ってある本だと、天を触ったときにざらざらして気持ちいい。

ポストイット不使用派の声で多かったのは、粘着物がページに貼りついてしまうことを危惧するものだった。こまいぬさん「使用しないです。まえに付箋をはってみたら、のりが強すぎたのか本が古かったのか、はがすとき紙自体いっしょにはがれてしまったことがあり。どうしてもいるときはメモを該当ページにはさむようにしています」の言われるとおり、稀にそういうことがある。特に古い本は危ない。だから図書館で借りたなど絶対に傷つけてはいけないものや、灼けているなど明らかに紙が劣化している本には貼らないほうが賢明である。私は家の本だと、もう手放さないとわかっているものには貼ってしまうこともあるけど。

また、仕事としての読書、特に調べものの際は貼るが、娯楽で読むとき、細部にこだわらずに楽しむようなときには貼らないというご意見もあった。これはこれでよくわかる。全体の流れが止まってしまうような感じになるんじゃないのかな。私は癖になっているので、娯楽の読書のときでも、あ、ここおもしろい、という感じで貼るけれど。

今回はいただいたコメントに、なるほどそういう手があったか、と感心するものが多かった。ただで知恵を分けてもらっているみたいで申し訳ないが、みなさんのポストイット作法を一部引用する。全体は、リンクからコメントを読んでもらいたい。なるほどねえ。

米光一成・はぁって言うゲーム遊んでねーさん「半透明付箋を、気になった行に、内容は上部、語句は下部、ページ全体が気になった場合は、横に、貼ります」

場所で分けるというご回答は蔓葉信博さん他からもいただいた。インデックス性を場所に持たせるわけですね。

円堂都司昭@『ディストピア・フィクション論』さん「気になった部分があればページ上部の背に近い奥に貼る(剥がれにくいように)。読了後、貼った部分をめくり返し、気になった部分をノートに抜き書きしてからポストイットを剥がす。貼ったままだと間をおいて再読した時、前回の読みかたに左右されそうだから」

こちらは貼りっぱなしにせず、きちんと自分のものにするという読み方である。再読するときに前の読みに引きずられるというのはその通りかもしれない。逆に、前回はこんなところに感心したのか、と過去の自分をおもしろく思うこともあるのだけど。

りりさん「はい。3色ボールペン読書術を参考に、
赤系:重要箇所(普遍的)
青(黄色):自分にとっての重要箇所
緑:面白いと思ったところ
独自かなと思うのは、紫色を興味を惹かれた引用文にしているところです。次の読書のとっかかりにもなりますし、自分が書くときのネタにもなります」

これはきちんと色分けをされている例である。私はけっこう出鱈目に貼ってしまうのだが、こうやって色で意味をつけるというのもおもしろい。

春生カンナさん「上にも横にも貼りますが、基本は仕事の本に。ただ、趣味の本でも時々凄く打たれると貼ることがあります。後で読み直しても不思議に打たれた箇所がその広い頁のどこかはちゃんとすぐわかるので、なんというか、自分の本になった感があります(…人に本を貸すことが少ないのもあるかもしれません)」

この感じもよくわかるなあ。ポストイットの位置には自分の考えが反映されているので、本が頭の中の延長になったような気持ちになるのである。

自粛生活23日目。

朝から本を読んで原稿を書くというごく普通の一日であった。世間はいわゆるゴールデンウィークに入ったのだろうか。観光地に人が行ってしまってひと悶着というようなニュースもあったようなのだが、移動の自由を制限するのはこの国では結構たいへんなことなのだということがわかる。私は日光を浴びるために近所を散歩する以外は家で過ごすのみなのだが。東京都の感染者が低い数値で推移しているのはいいのだが、それによってこの週末にまた人出が増えはしないか、と少し心配になる。書評家などはどうでもいいが、寄席芸人も辛抱しているのだからそれを無駄にしないでやってくれ、と思うのみだ。早く普通に笑える日が来るといいのだが。そんなことを思っていたら、緊急事態宣言が全国対象に6月6日まで延長される見込みという速報が入った。いまだ感染者ゼロだという岩手県の反応が気になる。

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