杉江の読書 法月綸太郎『挑戦者たち』(新潮社)

――古典的な探偵小説に見られる「読者への挑戦」が、作中でいかなるポジションを占めるかによっては長年論争が続いている。[……]  法月綸太郎『挑戦者たち』の「46 分類マニア」はこのような書き出しで始まる。それ以下の文章では「挑戦状」が含まれるのは問題編か解決編かという4つの学説が提示されるのだ。そうした議論がどこかで実際に行われている可能性はあるが、記...

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小説の問題「幸せな読書のために」平松洋子と荻原魚雷とダニエル・ウッドレル

小説の問題「幸せな読書のために」平松洋子と荻原魚雷とダニエル・ウッドレル

 昨日に引き続き「問題小説」の旧稿をご紹介したい。2011年12月号、この号で最終回である。  タイトルは今とっさにつけた仮のものだ。雑誌の切り抜きを探したのだが、この号だけ見当たらなかったからである。原稿を読み直し、そういうことを思いながら書いたのだろうと推測してつけてみた。たぶん、だいたい合ってる。 =====================...

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小説の問題「ゆっくり歩こう ゆっくり読もう」山村修と円城塔と木内昇

小説の問題「ゆっくり歩こう ゆっくり読もう」山村修と円城塔と木内昇

 以前、徳間書店より「問題小説」という月刊の小説誌が刊行されていました。  長年にわたって杉江が、時評の本拠地としていた雑誌です。最初に連載のお話をいただいたときは1ページでした。それがだんだんと増えていき、最終的には4ページになりました。当時の小説誌を見渡しても、これだけの文字量を一人の書評家に使わせてくれていたところは珍しかったと記憶しています。書...

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杉江の読書 リング・ラードナー『アリバイ・アイク』(加島祥造訳/新潮文庫)

杉江の読書 リング・ラードナー『アリバイ・アイク』(加島祥造訳/新潮文庫)

――わしという人間は喋りはじめたら止らんから困る、とかあさんは言うんだがね。  こんな書き出しで「金婚旅行」という短篇は始まる。題名が示すとおり、記念年の旅行に出かけた夫婦が見聞した出来事を、猛烈な勢いで話し続ける老人の一人称で綴った一篇だ。リング・ラードナー傑作選である『アリバイ・アイク』の収録作だが、「止めどないおしゃべり」ほどこの作者の資質を的確...

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BIRIBIRI寄席通信 「若いおじさんの会 中年の星争奪戦第3回」春風亭柳若VS三遊亭鯛好

BIRIBIRI寄席通信 「若いおじさんの会 中年の星争奪戦第3回」春風亭柳若VS三遊亭鯛好

「若い=入門10年未満」「おじさん=入門時33歳以上」の二ツ目が芸を競い合う会として発足した興行「若いおじさんの会 中年の星争奪戦」の第三弾は、落語芸術協会から春風亭柳若さん(瀧川鯉昇一門)、五代目円楽一門会から三遊亭鯛好さん(三遊亭好楽一門)の出演となった。例によって、会の趣旨及びルールは第1回のレポートを参照のこと。 自由課題1席、テーマ課...

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BIRIBIRI寄席通信 「若いおじさんの会 中年の星争奪戦第2回」柳家さん光VS三遊亭鯛好

BIRIBIRI寄席通信 「若いおじさんの会 中年の星争奪戦第2回」柳家さん光VS三遊亭鯛好

「若い=入門10年未満」「おじさん=入門時33歳以上」の二ツ目が芸を競い合う会として発足した興行の第二弾である。会の趣旨などは第1回のレポートを参照のこと。 この日の口上トークでちょっとしたハプニングが発生した。本会の参加資格を上記のとおり「入門10年未満だが入門時33以上、かつ現在40代」の落語家として発表していたのだが、柳家さん光さんが実はまだ誕生...

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BIRIBIRI寄席通信 「若いおじさんの会 中年の星争奪戦 #1 さん光VS寸志」20160622

BIRIBIRI寄席通信 「若いおじさんの会 中年の星争奪戦 #1 さん光VS寸志」20160622

いつの時代、どのジャンルでも繰り返されることだが、若くていい男(いい女)のプレイヤーに人気というものは集中しがちである。スポーツしかり、芸能界しかり。文壇だって、ちょっと油断すると、作品の内容以上に作家の風貌を前面に押し出して売ろうとする手合いが現れる。キャラクターは商品性なのだから、別にいいのだけどね。 別にいいのだけど、売り方がそれ一辺倒に...

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BIRIBIRI寄席通信 「立川談四楼独演会 オールナイトで談四楼#16」20160904

BIRIBIRI寄席通信 「立川談四楼独演会 オールナイトで談四楼#16」20160904

終電で来て始発で帰る、おそらくは世界で唯一の「真の深夜寄席」であり、「オールナイト興行」の落語会だ。16回目を迎え、お客様もまずまずの入り。本来は8月の興行なのだが、お盆休みなどで人出が見込めないことを鑑み、9月初旬にずらしたわけである。夜になって雨もぱらついたが、足止めをするほどの降りにはならず一安心した。 この日の番組は以下の通り。 ...

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杉江の読書・『イーヴリン・ウォー傑作短篇集』(高儀進訳/白水社)

杉江の読書・『イーヴリン・ウォー傑作短篇集』(高儀進訳/白水社)

 イーヴリン・ウォーの短篇で最初に読んだのは「ミステリマガジン」に訳載されたTactical Exerciseではないかと思う。第二次世界大戦によって人生を狂わされた男の話で、戦前に持っていたすべてのものを失ったジョンは、次第に妻・エリザベスへの憎悪を募らせていく。夫と妻の犯罪を描いた作品は他にいくらでもあるが、この小説を唯一無二のものにしているのはその特殊...

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落語本・『桃月庵白酒と落語十三夜』が出ました

落語本・『桃月庵白酒と落語十三夜』が出ました

 本日(9月2日)あたりから全国書店で『桃月庵白酒と落語十三夜』(KADOKAWA)が販売開始になる。電子雑誌「文芸カドカワ」創刊号である2014年1月号から2015年1月号まで連載された「落語研究会ただいま女子部員募集中!」を母体にした本で、忙しい白酒さんに毎月角川まで来ていただき、杉江がお話を伺うという形式をとっていた。落語には季節のネタがあるから、最初...

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