兵庫行の続き。
王子公園駅東側のまちまち書店を訪問し、西側へ取って返す。高架沿いの道を下っていくと、今度は開いていた。
古本屋ワールズエンズガーデンである。
扉を開けて中に入ると、いわゆる古本屋らしさとは違った空間がそこに広がっていた。
まず視界に余裕がある。壁際には人の背丈ほどの高さの書棚が並んでおり、その手前には胸丈よりも低い両面の棚が立っている。帳場は扉を開けてすぐ左で、そこから奧に向かってL字をひっくり返したような、書棚に挟まれた通廊になっているのである。では店舗の右側にある空間は何かというと、蔵書家の自宅に不意にお邪魔したようなことになっている。ソファーやテーブル、サイドボードが置かれ、その上にはもちろん本が山積みにされている。個人宅を改造したような古書店にはこれまでも何度かお邪魔したことがあるが、ここはそうしたところともまた違う。架空の蔵書家の書斎をそのまま移設したような空間とでも言うべきか。ワールズエンドガーデンという名のとおり、世界の果てで突如理想の古本屋に出会ったような驚きのある店構えであった。
ゆっくりと見ていく。通廊とさっき呼んだ空間は手前が文学書で、さまざまなジャンルのものがタペストリーのように織り交ぜられた棚作りになっており、眺めるのが楽しい。海外文学が強い印象だが、SFやミステリーなどのジャンル小説も手を抜かずに揃えてある。あ、ほら、エラリー・クイーン原作漫画『クイーンの事件簿 恐怖の家』(主婦の友社)があった。劇画・望月三起也でエラリー・クイーンという組み合わせだから両方のファンにとって垂涎の的となる一冊だ。「恐怖の家」「ヤンキー・スタジアム殺人事件」「トロイヤの馬」の三篇を収めた短篇集で、望月描くエラリーは日米親善野球観戦のため来日するなど、現差Kうとは違ったキャラクターになっている。長髪に髭のいかにもヤンキーといった風貌で、なかなか新鮮である。作画は、表情などは確かに望月っぽいのだが、人体のデッサンが甘い箇所も多く、アシスタントの代筆ではないかという気がする。
これだけでも十分収穫なのだがもちろん丹念に見て歩く。右側のエリアに少年漫画誌が詰まれたところがあり、そこで発見してしまった。
少年キング1982年4・5、7、11号である。お目当ては鴨川つばめ「AAO」だ。『マカロニほうれん荘』『マカロニ2』に続く作品で、チャンピオンからキングに移って連載が続いたが単行本化はされていない。これを集めるために、キングは見つけたら買うことにしているのだ。4・5号では石森章太郎(当時)「も一度やろう」連載が始まり、次号に松本零士「ホテルX」が開始するという告知がされている。前年に『銀河鉄道999』が終わり、その余熱を受けての新連載だったわけだが、これは『蜃気楼フェリー アイランダー0』(少年画報社他)のことだった。
他にもいろいろ買い、おなかいっぱいである。旅先で少年漫画誌を3冊も買えば鞄はぱんぱんになってしまうのだが、これは仕方ない。次へ向かう。(つづく)



