杉江松恋不善閑居 高田馬場・ばばん場「若手一文字浪曲会」

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某月某日

今抱えている仕事。レギュラー原稿×3。イレギュラー原稿×2(解説×2)。

やらなければならないこと。下読み×1。の・ようなものの準備×1。

静岡に行っている最中に、とある原稿群を単行本化してもいいよ、企画会議にかけてみるよ、というお申し出をいただいたので、そのための資料整備に半日使った。単行本化してもらえると嬉しいなあ。期待して待つ。

それ以外に、今企画を出している出版社からけっこう前向きな連絡をいただいたので、関係者に相談のメールを出した。これも単行本が出せるといいなあ。

今手元にある著作の企画は単著・共著含めて五つだ。このうちミステリー関連のものが三つで、二つはまったく関係ない。ミステリーは本業なので大事にしたいが、それ以外のことについての好奇心も失わないようにしたい。これでいいのだ。

版元で言えば、学術系のメジャーである岩波書店からいつか本を出したいという気持ちがある。どうしたらいいんだろう。博士号とか持ってないとやっぱりだめなんだろうか。今からでも学位取りに戻るか。また、それとは別にいろいろな版元から本を出したいという願望もある。地方新聞社なんかいいではないか。または個人でやっているような小さな出版社から、というのもいい。狙っている版元の一つがミシマ社なのだが、これを見たらいっぺん相談させてもらえまいか。

夜は高田馬場・ばばん場にて若手一文字浪曲会。『100歳で現役! 女性曲師の波瀾万丈人生』(光文社)を販売する許可を貰ったので、売り子でもある。

本来出演予定だった天中軒すみれさんがお休みになったので急遽玉川奈みほさんと沢村まみさんが代演。

阿漕ヶ浦 奈みほ・まみ

ゆうれい奇談(沢村博喜作) 綾那・博喜

身代わり音頭 小そめ・博喜

奈みほさんはここしばらくですごくよくなったと思う。以前は声の出し方でいかにも苦しそうな箇所があったのだが、そういうこともなく聴きやすい。抑揚も十分でいい「阿漕ヶ浦」だった。と褒めておいて思ったのだが、奉行はなるべく乙の声で演じたほうがいいのでは。若様は甲なので、乙に落したほうが対比がきくし、威厳があると思う。「ゆうれい奇談」は新婚夫婦が旅先で人骨を拾ったことから始まる奇譚で、よくまとまっていた。博喜さんは曲師になってからまだ2年だというのに達者だし、台本も書けるしで本当に器用だ。いい才能を発掘したものだと思う。綾那さんは変顔なども交えて熱演。たっぷりと聴かせどころがあるし、女性が可愛らしく演じられているので楽しかった。「身代わり音頭」は情感豊かな一席で、善人しか出てこないので聴いていて気持ちいい。アンコの民謡が二席入るなど節もバラエティに富んでいる。この日もいい舞台だった。

毎回この会は一文字のテーマに基づいて行われるのだが、この日は「涼」であった。次回は私の提案が通って「寿」。言うまでもなく玉川祐子百寿にかけております。

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