杉江松恋不善閑居 浅草木馬亭四月定席四日目と神保町「PASSAGE ALL REVIEWS」

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某月某日

今抱えている仕事。レギュラー原稿×5。イレギュラー原稿×3(エッセイ、評論、解説)、ProjectTY書き下ろし。

やらなければならないこと。主催する会の準備×1。

朝一番でやらなければいけないことや業務連絡を手早く終わらせて木馬亭へ。それでもいくつか抜けていることがあった。二席目の途中から浅草木馬亭四月定席四日目。

織田家仕官 天中軒すみれ・伊丹明

恨みの十四日 港家小そめ・玉川祐子

首護送 真山隼人・沢村さくら

三味線やくざ 鳳舞衣子・伊丹秀敏

越後伝吉一粒万倍 東家孝太郎・伊丹明

三浦屋孫二郎 神田春陽

乃木将軍正行寺墓参 三門柳・伊丹明

同期の桜 東家三楽・伊丹秀敏

相三味線の玉川祐子・沢村さくらのお二人以外は両伊丹がすべて弾くという渋い構成。モタレの「乃木将軍正行寺墓参」、トリの「同期の桜」は共に戦争で亡くなった人を悼む話である。ここには現在ロシアによって行われているウクライナ侵攻への批判精神を見るべきだろう。真山隼人は桃の節句には一月遅かった桜田門外の変の外伝「首護送」、隼人節を小気味よく聴かせた。真山隼人に隼人節あり、ということはもっと広めなければならない。落語や講談にない浪曲の強みは、あの人を聴きに行く、というだけではなくて、あの人のあの節を聴きに行くという楽しみがあるということなのだから。というわけで次回真山隼人が来京するときは、皆さんお見逃しなく。

「首護送」があったのでもしかすると東家孝太郎は水戸浪士ものの「鯉渕要人と山口辰之介」か、と思ったが予想は外れた。「首護送」のクライマックスに登場するのがその両人なのである。四月四日は二代目浦太郎の師匠、つまり孝太郎の大師匠である東家楽浦の命日なのだとか。というわけでお家芸の「越後伝吉一粒万倍」を。出世譚でおめでたいお話。「三味線やくざ」は鳳舞衣子でいちばん好きな外題で、流されてヤクザになった男の哀しみと復活を描いて気持ちいい。「恨みの十四日」は後半しか聴けなかったが、小そめの師匠・港家小柳十八番の一つ。先日笠間に行ったばかりだったので、前半を聴き逃したのが残念である。かなり変わった赤穂義士外伝だ。講談は浪曲の「繁蔵の最期」にあたるお話。春陽の語りはどすがきいていて素晴らしい。任侠ものにはやはりこの声が合います。

木馬亭を出て、急いで神保町へ。雨足が結構強かったので、三茶書房の軒先をひやかしたくらいで寄り道はせず、すずらん通りPASSAGE ALL REVIEWSへ。書評サイトALL REVIEWSがこの春から神保町において集合型の書店を開いた。鹿島茂他、さまざまな人が一棚の主として本を出している。その一隅に「杉江松恋の本棚」も設けてもらっているのである。ALL REVIEWS主宰の由井さんとあれこれ相談して店を出る。ちなみに今の棚はこんな感じで外国文学が多い。しばらくは外国文学主体の棚になると思うが、本が減ってきたらまた別ジャンルのものを持ち込む予定である。そうやって本を回転させていって、四半期ごとにまったく違う感じの棚になるようにしていこうと考えている。

神保町から地下鉄半蔵門線に乗り表参道へ。スパイラル一階のカフェにて人と会っていろいろ相談。なんとか進められそうなところまで話をまとめて本日の業務終了である。仕事が溜まっているのでまとめて片付けなければ。

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