街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2020年2月・神田松之丞六代目伯山襲名及び真打昇進披露パーティーと中目黒で古本あれこれ

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某月某日

ぎりぎりまで仕事をして浅草ビューホテルへ。神田松之丞さんの六代目神田伯山襲名ならびに真打昇進披露パーティーに出席するためである。あまりにもぎりぎりすぎて少し遅刻してしまい、まさに今入場しようという神田松之丞さんの後ろに着いてしまった。そのまま入るとグレイシー一族が好きすぎて、一事はその入場恒例のグレイシー・トレインに加わるという話のあった安西“グレイシー”伸一『格闘技通信』記者(当時)のようになってしまうので、ちょっと時間を置いてから中へ。私のテーブルは「徳」で、周囲はほとんど『絶滅危惧職、講談師を生きる』の関係者であった。

つつがなく挨拶や乾杯が済んですぐに中締めに。芸人さんの披露目は、途中で仕事がある人が抜けられるように、とっとと中締めをやってしまうのである。立川談四楼さんにお聞きしたところでは、PARCOらくごのあった立川志の輔さんはこの中締めにも間に合わず乾杯だけで飛び出したらしい。相変わらずお忙しい。

余興の段になって最初に出てきたのが玉川太福さん・玉川みね子さんのお二人。3月1日に行われた独演会で、伯山になられる節目として神田松之丞と佐渡島に行ってきました物語を封印します、とおっしゃっていたのでどうするかと思っていたが、また別の回顧譚を浪曲にされていた。思いがけず太福さんを聴けて嬉しかったので「待ってましたっ」「大儲けっ」と声を掛けていたら後で九龍ジョーさんに「いい調子で声を掛けている人がいるから誰かと思ったら松恋さんだった」と言われる。

余興の第二段は坂本頼光さんによる活弁で、この日用のスペシャル版。第三弾は松村邦洋さんの物真似で、一発ねたではなくて長丁場を持たせるのはさすが、と唸らされた。最後に師匠・神田松鯉さんから何かあるかと思ったがそれはなかった。11日からの口上をお楽しみに、ということだろう。司会に、古舘家にも上がってもらえばと促されたが松之丞さんが「妻が絶対嫌だと言っているので」と断固拒否したので、本人の挨拶でおしまい。すっきりして、いい披露目だったと思う。

会場には評論家の矢野誠一さんが来られているなどいろいろおもしろそうなことはあったのだが、いずれ「問わず語りの松之丞」で話されるだろうから一切省略。ちなみに以下がお披露目でいただいたものの一覧である。

目録、手拭、扇子の三点セット。

風呂敷と切腹最中。松之丞は大石主税の幼名だから、忠臣蔵由来の引き出物。

問わず語りの松之丞でおなじみ、羽衣あられ。

鏡開きでも使われた獺祭と桝。三つ環の紋と師匠・松鯉筆による「六代目神田伯山」の文字入り。

外に出ると立川談四楼さんがお一人でいらっしゃったのが見えたので、ちょっとお話しましょうよ、の念を送り続ける。なんとなく歩を合わせていたら、じゃあ、煙草の吸える喫茶店で少し駄弁りましょうか、ということに。私は吸わないが談四楼さんは愛煙家である。

さすがに浅草でも煙草の吸える店は少なくなっており、浅草駅周辺までちょっとうろうろしてようやく店に収まる。最近ちょっとご無沙汰気味だったので、いろいろと近況報告をする。談四楼さんは三月に新刊が一冊、旧刊の文庫化が一冊あって、その作業でお忙しいそうなのだ。私もがんばらなくちゃ。

駅まで行って、銀座線に乗る。歩いているとき談四楼さんに「今日はまさか、古本屋には行かないんでしょうな」と言われたが、すみません、談四楼さんをお見掛けしなかったら間違いなく地球堂書店かサンカンオーに行ってました、私。

そんな会話をしたからか、中目黒「デッサン」「杉野書店」「COW BOOKS」の三軒に寄り道してから帰ってしまう。しかし一冊も本は買わなかったので、今日は欲望を制御できた賢い一日だった、と日記には書いておこう。

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