街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年3月静岡行その1 草薙・ピッポ古書クラブ 

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

横浜駅から出発。
マツコイ春の古本祭り、はじまるよ。

3月に入り、またあれがやってきた。

青春18きっぷの季節である。

思えば昨年までは不定期に二度目の東海道歩きを実行しており、日本橋から24宿目になる、静岡県島田市の金谷まで歩を進めていた。ところが昨年の春にちょっとした不注意がもとで入院してしまった。病気自体はすぐに治ったのだが、一時的に体力が落ちたのと、なぜかとんでもない低血圧になったのとで、長距離の歩き旅は控えていたのであった。

その代わりにしていたのが、遠出をして行ったことがない町の古本屋を訪ねることである。北関東を中心に、行けそうなところはだいぶ行った。今年の一月には片道七時間半をかけて仙台の萬葉堂書店まで行った。同行した若林踏氏は裏切って先に帰った。それはいいのだが、行けば行くほど気になることがあったのだ。

東海道沿いの古本屋、あまり行ってない。

なぜならば長い距離を歩くことを優先して、荷物をなるべく軽くしていたからだ。『東海道でしょう!』で藤田香織氏と歩いていたときは、途中で荷物の大半を宅急便で送ってまで軽量化していた。一日に20km前後歩くというのに、本を背負うなんて苦行には耐えられない。一度だけ、当時幻冬舎でやっていた、『スギエ・フジタのマルマル対談』のために課題本をかついで歩いたことがあったが、一回で懲りた。本をかついでぶっ倒れかねない。

そんなわけでごめんなさいしてしまっていた東海道沿いの古本屋、このまま放置していいものだろうか。

いいわけがない。

そろそろ体調も戻ってきたところで、東海道歩きも復活させたい。

であれば、忘れ物を取りに行くべきではないか。

というわけで、3月12日。私はJR横浜駅から東海道線に乗り込んだのであった。目的地は東海道五十三次のうち22の宿場がある静岡県である。その中でも古本屋の忘れ物が集中している静岡市をまずは重点的に回るのだ。

途中、熱海駅で乗り継ぎ。昼食を摂れるタイミングがここしかなかったので、伊東線の1番ホームで立ち食いそばの爽亭に。熱海駅には複数立ち食いそば屋があったが、現在ではここしか残っていない。そのせいか店内がいっぱいだったので、店員さんに許可をもらって外で食べた。駅の外を歩いていく旅行者を観ながらたぬきそば。風が吹き抜けて気分がよろしい(数日後に同じ爽亭に寄ったら工事中になっていた。すわ、閉店か、とびっくりしたのが、どうやら改装工事をしているようである。再開したらまた伺います)。

■児童書専門店と見くびるなかれ

下車したのは、静岡の2駅前の草薙である。ここはJRの駅を出て北に向かうと、3分くらいで静岡鉄道の同名駅に着く。そのすぐ手前に「子どもの本専門店 ピッポ」があるのだ。名前のとおり児童書の専門店だが「ピッポ古書クラブ」として古書店としても営業している。近づいてみると、なるほど店頭に文庫と単行本の均一棚があった。紛れもなく古本屋である。

店内は中央の低い棚で仕切られていて、向かって左側が児童書中心の新刊棚である。右側が古本の棚。中央の低い棚は児童書やその周辺書籍が主だが、壁の棚に並んでいるのはそれに限らない。文学書はもちろんのこと、社会主義思想や芸術・芸能、山岳書に海外文化といった周辺ジャンルの書籍が豊富で、しかも品ぞろえが粒選りである。たとえばここで私は、某喜劇人のそれまで遭遇したことがない著書を2冊も見つけてしまった。残念ながら手の出るお値段ではないので目の保養だけさせてもらって見送る。値付けがきちんとしていてハードルは高いのである。空振りだが、満足して店を出て、東海道線に乗るべくJRの駅に戻る。この時点では草薙駅に何度も来ることになるとは気づかずに。

ピッポ古書クラブ。素敵な本屋さんがあって、草薙の児童は幸せだ。

草薙駅前の居酒屋。名前が素敵すぎる。近所に住んでいたら毎日来る。

(つづく)

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存