杉江松恋不善閑居 池尻大橋ホーチャン!

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眼鏡の上からクリップではめるサングラス装着。今気づいたけど少しずれてた。

退院してから初の内科通院日だった。現在の体重を報告し、低血圧のことも話す。待合室で血圧を測ったら上が98の下が58で、正常値よりもやはり下回っていた。結果、今処方されている薬を替えようかという話になった。少しは症状も改善されるとのこと。

体重はさすがに減っている。何キログラムがいくつになって、と書こうかと最初は思ったのだが、止めておく。痩せることは健康管理の上でたしかにいいことだとは思う。しかし今の私がどんどん痩せていくのは医師の指導があるから安心してできることなのであって、一歩間違えばたいへんな事態を招く。手段と目的が入れ替わってしまったら大事だ。

今からだいぶ前、まだ摂食障害という用語が一般的ではなくて拒食症/過食症という言葉がようやくメディアで使われるようになったころ、関心を持って専門書などを読んで調べていた時期があった。レベンクロン『鏡の中の少女』ぐらいしか、そのころはフィクションでも出ていなかったと記憶している。食べられないこと、過剰に食べてしまうこと、体型を気にしすぎてしまうこと、そうした心の向きをひそかに作るのは、メディアの無邪気な痩身礼賛だ。私が○○キログラム痩せました、と大声で叫んだところで十代の少年少女が関心を持つとは思わない。だが、そうした無心に投げた石が坂を転がっていって麓でどこかにぶつかる可能性は考えなければいけない。世間に対してまったく影響力のない私でも、一言を口にする前に慎重になってしかるべきだろう。

酒を飲まなくなってから45日経った。別に飲まないと決めたわけではなくてなんとなくの断酒なので、そのうちにはまた口にするだろうと思う。ただ、飲んだ後でどうなるか自分にもわからないので、知った場所でしか酔っ払えない。今日は退院後初めて、一人だけで外食の店に入った。喫茶店ではない飲食の場に、家族抜きで行くのはたぶん50日ぶりぐらいだ。病院の帰り、昼下がりにふらっと入った。

前にも書いたとおり立ち食いそばでゲソ天のっけの一杯、というのが夢の食い物なのだが、油の多いものは今の体調だと無茶だろう。そうなると関東では、かけか月見か山菜ということになる。山菜そばを選んだ。店は池尻大橋の名店ホーチャンである。二店あるのだが、駅前のほう。

ひさしぶりに食った立ち食いそばは、記憶にあるよりもずっとしょっぱかった。塩分制限をしているので、体が慣れていないのだろう。そばの間に山菜や大ぶりに切ったねぎを挟んでずるずるとすする。ホーチャンにはテレビが置いてあるのだが、日大アメフト部の問題をずっとやっていた。入院のときに話題になっていたニュースに、何か新展開があったらしい。新展開を聞く間もなくすすり終えて出る。店を出たところで眼鏡にサングラスを装着した。めまい予防である。薬の変更と陽射し避けで症状も出なくなるといいのだが。

ホーチャン池尻駅前店の山菜そば。立ち食いそば、ずっと食べたかったのです。

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