電撃座通信 柳家やなぎ落語会「ひるやなぎ」20170109

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 マイクロシアター電撃座の公演は夜席に偏りがちだが、土日祝日の昼間のほうが動きやすいというお客様も多いはずである。そういう方のために、生きのいい若手の落語会をやってみたい――柳家やなぎ出演の「ひるやなぎ」はそういう意図で企画した落語会である。

やなぎさんは柳家さん喬門下で、2015年5月に二ツ目昇進を果たした。1990年生まれだから現在26歳、出身は北海道野付郡別海町で、ご実家は酪農家をされている。自称「牛の乳しぼりをさせたら東京一上手い落語家」で、もしかすると落語家という縛りを外しても東京一上手いのかもしれない。別海と、貫禄ある自分の体格をいじるのはやなぎさんのマクラのお決まりだが、この日も「電撃座において高座の体感温度がいかに高いか」という話題でがっちりと客の心を掴んでみせた。

この日の番組は以下の通り。

天狗裁き

自由ヶ丘由来

仲入り

心眼

背後のモニターがまた、熱を放つから暑いんだこれが。

初席向きの滑稽噺で始めて、盲人の悲哀を描いた大ネタで締めたのだが、内容をよく見ると呼応関係しているのがわかる。仲入り前はやなぎさん自製の新作で、田園調布のセレブであることに異常にこだわる一家を描いた噺だ。田園調布、田園調布と連呼されると反射的に星セント・ルイスを連想してしまう昭和世代である。この噺、東急線沿線での営業では異常に受けそうなのだが、どこからかお声がかからないかしら。

「師匠も先輩もいないから手を抜く」と宣言して始まった会だったが、結果としては2時間半の熱演となった。次回もぜひ、とお願いしたところ快諾いただいたが、次は「ひるやなぎ」ではなくて「よるやなぎ」となる見込みである。3月以降に再登場となる予定なので、今回聞き逃した方は次こそぜひ。

マイクロシアター電撃座、次の公演は1月11日(水)である。「がらくた落語再生工場」の出演は柳家花飛(かっとび)、三遊亭天歌、三遊亭はらしょうの3人で、それぞれが途中まで作ったものの放棄してしまった新作台本を持ち寄り、交換して最後まで仕上げるというもの。他人の視点が入ることによって思いがけない化学変化も生まれるという、創作の醍醐味を感じられる会だ。今回が第2回。新趣向の落語会を体感ください。

詳細はこちら

落語再生工場の職人さんたち。左から天歌、花飛、はらしょう。

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