杉江松恋 一覧

芸人本書く列伝classic vol.25 吉田照美『ラジオマン 1974-2013僕のラジオデイズ』

人の生き方は個々に独自の在り様があり、それぞれに特別なものである。 そうした前提を踏まえた上で言うが、これは特化した人生を描いた本だ。 吉田照美『ラジオマン 1974~2013 僕のラジオデイズ』(ぴあ)は、2014年の文化放送入社以来一貫してアナウンサー、もしくは番組パーソナリティーとしてラジオの世界で生きてきた著者の半生記である。もち...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.24 桃月庵白酒『白酒ひとり壺中の天』

芸人本書く列伝classic vol.24 桃月庵白酒『白酒ひとり壺中の天』

「水道橋博士のメルマ旬報」は配信日の1週間前が〆切である。その時点までに原稿を送るか、または休載のコメントを出すことになっている。「伊勢参り」云々というのはそのことである。「伊勢参り」は冗談ではなくて、『東海道でしょう!』(幻冬舎文庫)で街道歩きに目覚め、東海道から伊勢街道への分岐点である四日市から伊勢神宮までの70kmをこのとき本当に歩いていたのだ。自分の...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.23 三遊亭円丈『落語家の通信簿』

芸人本書く列伝classic vol.23 三遊亭円丈『落語家の通信簿』

三遊亭円丈という落語家は素晴らしき負けず嫌いである。別に本人と私的に話したことはないが、たぶん推測は間違っていない。それは円丈が2009年に出した落語論『ろんだいえん』(彩流社)で故・立川談志について触れた個所を読めばはっきりとわかる。 同書で円丈は談志の才能を褒めたたえながら、だが談志の限界は古典落語にこだわり新作に行かなかったことだ、ときっ...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.22 小佐田定雄『枝雀らくごの舞台裏』

芸人本書く列伝classic vol.22 小佐田定雄『枝雀らくごの舞台裏』

二代目桂枝雀が1999年4月19日に亡くなってから14年経っていた。 「もう」でもあり、「まだ」でもある。私にとって上方落語はそんなに近いものではないので、肌の感覚で歳月を感じることができないからだ。 それでも感慨は、ある。私の世代の関東人は、枝雀の東進を驚きとともに受け止めた世代である。後に麻原彰晃が得意気にやってみせた座った姿勢からの...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.21 立川志らく『落語名人芸「ネタ」の裏側』

芸人本書く列伝classic vol.21 立川志らく『落語名人芸「ネタ」の裏側』

この連載は毎回博士から指示をいただいて原稿を書くというスタイルなのだけど、博士が漫才モードで指示を出している余裕がなさそうだったので、こちらから選ばせていただきました。今後はそういうことも増えるかもしれません(注:「芸人本書く列伝classic vol.19」で書いたように、このあたりから選書を任されるようになった)。 というわけで今回...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.20 松本ハウス『統合失調症がやってきた』

芸人本書く列伝classic vol.20 松本ハウス『統合失調症がやってきた』

コンビは別れないものだ。 それは立川談志の持論だった。十代のころから多くの芸人を見てきた談志の経験が言わせたものだろう。田中とは別れるな。まだ駆け出しのころの太田光も、会って間もないころの談志にそう言われたという。 コンビは別れないものだ。 そのことについてあれこれ申し述べられるほど、私は芸人について詳しくない。しかし、そこ...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.19 樋口毅宏『タモリ論』~メルマ旬報連載を辞めるつもりだった原稿

芸人本書く列伝classic vol.19 樋口毅宏『タモリ論』~メルマ旬報連載を辞めるつもりだった原稿

以下の原稿では樋口毅宏『タモリ論』をとりあげている。水道橋博士から、全連載で同書についてなんらかの形で書いてもらいたいという要請があったのだ。樋口氏はメルマ旬報の連載陣の一人であったので、その形で応援しようということである。 実はこのとき、メルマ旬報の連載を辞めるつもりでいた。正確に言えば、この原稿を送ってもし掲載を断られたら辞意を申し出るつもりでいた...

記事を読む

寸志滑稽噺百席、其の十二はバレ噺大会です←追記

寸志滑稽噺百席、其の十二はバレ噺大会です←追記

落語立川流の二ツ目・立川寸志さんが滑稽噺だけで百席を積み上げていく寸志滑稽噺百席、第七回からは会場を代えて新宿天神町17にこざいます香音里(こおり)にて開催しております(地下鉄神楽坂駅より徒歩3)。滑稽派の大看板を目指して日々奮闘する寸志さんは2017年度渋谷らくごの「楽しみな二つ目」賞受賞者でもあります。夜8時からの遅い開催ですので、仕事帰りに...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.17 常松裕明『よしもと血風録 吉本興業社長・大崎洋物語』

芸人本書く列伝classic vol.17 常松裕明『よしもと血風録 吉本興業社長・大崎洋物語』

吉本興業という会社には、創業時から魅力的な神話がある。創業者は元大阪上町本町橋で荒物問屋を営んでいた吉本吉次郎だが、実質的に寄席経営を仕切っていたのは妻のせいであるというのである。 矢野誠一『女興行師吉本せい 浪花演藝史譚』(ちくま文庫)は膨大な資料を基に書き上げられた評伝の傑作だが、せいが周辺の寄席を買い漁って統合し、興行の一大経営圏を作って...

記事を読む

芸人本書く列伝classic vol.16 清水ミチコ『主婦と演芸』

芸人本書く列伝classic vol.16 清水ミチコ『主婦と演芸』

○月×日 新宿『ロフトプラスワン』で、ルックスも声も素敵なスタッフさんに、「ブロス読者で、清水さんの文章が楽しみです。特に有名人にさん付けして書くところが好き」と、褒められました。とてもうれしかったけど、「そこですか。そこでいいの?」と念のために聞き返しました。 いや、本当にそこでいいのか。 清水ミチコ『主婦と演芸』(幻冬舎)は、そ...

記事を読む

1 75 76 77 78 79 80 81 89