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bookaholic ラジオショー第1回のpodcast公開が始まりました!

杉江松恋です。昼間、眼科検診を受けて、瞳を広げる目薬をさしてもらったものでまだ世界が光り輝いて見えます。ベラドンナ怖い。 去る1月30日(月)に第1回を開催した「bookaholic ラジオショー」は公開形式でpodcastの録音を行うイベントです。第1部は翻訳、第2部は国内小説について、という構成でこれから進めていこうと思っています。昨年末に...

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杉江の読書 天龍源一郎・嶋田まき代・嶋田紋奈『革命終焉』(辰巳出版)

杉江の読書 天龍源一郎・嶋田まき代・嶋田紋奈『革命終焉』(辰巳出版)

 2017年の元旦から寝込むことになり、家族に迷惑をかけてしまった。ほとんど眠って過ごしたのだが、眼が覚めている間に読むものがないのも淋しく、『革命終焉』を枕元に置いていた。2015年の旧刊であり、発売になってすぐ買って読んだ本だ。著者は天龍源一郎・嶋田まき代・嶋田紋奈、希代の名レスラーが家族と一緒になって著した、一風変わった半生記である。 以前に天龍...

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2016年末特別企画:『戦場のコックたち』著者・深緑野分氏に聞く

2016年末特別企画:『戦場のコックたち』著者・深緑野分氏に聞く

日本の優れた創作作品を世界に紹介するという意図で開始されたコンクール〈SUGOI ! JAPAN〉が2016年も開催された。最終的には一般投票で優秀作品が選出されるのだが、〆切は2017年1月3日、間もなくである。未投票の方はぜひ、いっぺん候補作リストを覗いてみてもらいたい。 杉江はこのコンクールのエンタメ小説部門候補作の選考委員を務めている。2016...

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杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー5位 青山文平『半席』(新潮社)

杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー5位 青山文平『半席』(新潮社)

※『半席』が新潮文庫に入りました。解説はミステリー書評家の川出正樹氏です。 青山文平『半席』は、ミステリーとしても秀逸、という同業者の言葉を聞いて手に取った作品である。すでに直木賞受賞作『つまをめとらば』などの諸作でその実力の程はよく知っていたが、その折紙を貰わなければ読み逃していたかもしれない。一読して納得、たしかに良作だった。武家社...

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bookaholic認定2016年度国内ミステリー次点 七河迦南『わたしの隣の王国』(新潮社)

bookaholic認定2016年度国内ミステリー次点 七河迦南『わたしの隣の王国』(新潮社)

 七河迦南の四年ぶりの新刊、『わたしの隣の王国』のページを繰っていくと、まず登場人物紹介の数の多さに驚かされる。だがそれも当然で、〈ハッピーファンタジア〉という夢の国(言うまでもなく千葉県浦安市にあるアレを模している)が主舞台になるため、その世界における主要なキャラクターたちの名前を紹介する必要があるのだ。それが三分の一、残りの三分の二の登場人物は、二人の主...

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杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー10位 宮内悠介『彼女がエスパーだったころ』(講談社)

杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー10位 宮内悠介『彼女がエスパーだったころ』(講談社)

 宮内悠介の連作短篇集『彼女がエスパーだったころ』には三つの特徴がある。 一つは異端とされているものにあえて光を当てる行為だ。たとえば表題作は、ドキュメンタリー作家・森達也がスプーン曲げで一世を風靡した清田益章を取材した『職業欄はエスパー』(角川書店)から想が採られている。〈超能力者〉として世間の好奇心を刺激しまくる存在となった及川千晴という女性が登場...

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杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー1位 真藤順丈『夜の淵をひと廻り』(KADOKAWA)

杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー1位 真藤順丈『夜の淵をひと廻り』(KADOKAWA)

※bookaholic認定2016年度国内ミステリー1位だった本書が角川文庫に入りました。帯にはbookaholic認定1位と謳っていただいております。書店でご確認ください。 交番勤務の巡査を主人公にした連作ミステリーには乃南アサ『ボクの町』(新潮文庫)などの前例がある。真藤順丈『夜の淵をひと廻り』が先行作とひと味違うのは、主人...

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杉江の読書 bookaholic認定2016年度翻訳ミステリー第6位 ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』(藤井光訳/新潮クレスト・ブックス)

杉江の読書 bookaholic認定2016年度翻訳ミステリー第6位 ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』(藤井光訳/新潮クレスト・ブックス)

 過去の記述から小説は始まる。主要な登場人物の一人であるネルソンがまだ幼なく、その父母の視点を借りなければいけないような過去だ。1980 年代のそのときをネルソンの父親は「不安な日々」と呼ぶ。舞台となっている名前の記されない国で、内線が起きていた時代なのだ。そのころ、ヘンリーという名の劇作家がディシエンブレという名の小さな劇団を結成した。だが彼は後に逮捕され...

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杉江の読書 bookaholic認定2016年度翻訳ミステリーベスト候補作 ドン・ウィンズロウ『ザ・カルテル』(峯村利雄訳/角川文庫

杉江の読書 bookaholic認定2016年度翻訳ミステリーベスト候補作 ドン・ウィンズロウ『ザ・カルテル』(峯村利雄訳/角川文庫

 メキシコ・カルテルの撲滅という使命を奉じる男アート・ケラーと若き麻薬王アダン・バレーラの三十年戦争を描いた『犬の力』(角川文庫)は、喩えるならば麻薬戦争の神話、すなわち神と悪魔の間で繰り広げられる最終戦争を描いた作品だった。その続篇である『ザ・カルテル』の舞台となるのは、もはや神の存在しない世界である。絶対的な力を持つ者が全体を統御できる時代は終わった。麻...

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杉江の読書 bookaholic認定2016年度翻訳ミステリーベスト候補作 ジェフリー・ディーヴァー『煽動者』(池田真紀子訳/文藝春秋)

杉江の読書 bookaholic認定2016年度翻訳ミステリーベスト候補作 ジェフリー・ディーヴァー『煽動者』(池田真紀子訳/文藝春秋)

 ジェフリー・ディーヴァーは時代の空気を嗅ぎ分ける性能の良い鼻を持っている。たとえば、リンカーン・ライム&アメリカ・サックスの連作では2008年発表の第8作『ソウルコレクター』(文春文庫)以降、先端的な社会問題を利用して悪人が犯罪計画を企む物語が連続して発表された。『煽動者』は同シリーズから派生した、キャサリン・ダンスが主役を務める連作の第4長篇だが、本書で...

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