街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2020年7月・渋谷「中村書店」「リズム&ブックス」「古書サンエー」

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某月某日

木馬亭定期公演が前日で終わり、この日は三越前の日本橋亭でも浪曲興行があったのだが、すっ転んで割ってしまったレンズを入れに眼鏡屋に行かねばならず、諦めた。東家三楽門下の三可子さんが「双葉山」をかけるというのが気になっていたのだが、やむをえまい。というかそろそろ仕事をしないとお尻に火が付いている。

とはいうものの、本日は渋谷で定期受診の日である。数週間ごとに血液検査をして、血糖値だとかもろもろを調べてもらっているのだ。結果はHbA1cが5.4で、まずまずの数字である。糖尿病の方以外はあまり気にしたことがない数字のはずで、これは普通の人なら4.6~6.2の間に収まる。前回が5.9でぎりぎりだったので、下がっていて安心した。投薬治療は続けているものの、コロナの心配もあってあまりで歩けなかったため、もしかすると悪化していないかと心配していたのだ。

病院を出ると道を渡ったところに詩歌に強い中村書店がある。これはまあ、寄らずばなるまい。コロナ自粛期間が終わってから、お店が開いているのを見るのは初めてである。とりあえず均一台だけ眺めておとなしく帰るつもりが、気が付いたら原宿方面に向けて歩き出していた。

前日転倒した際に右手の親指を怪我したらしく、どうにもキーボードを叩く気にならない。キーボードを叩く、と携帯のフリック入力で書いてみたらキーボーを叩く、とDVのヒロシみたいなフレーズが出てきて、馬鹿負けしていよいよ仕事をする気力がなくなってしまった。いや、原稿は書きたいのだが右手が痛くて無理なのだ。ならば家でごろごろしていても健康のために散歩していても同じことではあるまいか、いやいや違うそうじゃない、などと適当な節をつけて唸りながら歩いていると、いつの間にか渋谷の街頭を横切り、社長のパワハラ問題で大騒ぎになった某シアター前も通り過ぎて、代々木公園近くまで来てしまっていた。

となるとリズム&ブックスである。音楽とサブカルときのこに強い古本屋。ツイッターを見ると、午後8時までの短縮営業だという。普段は10時までだからまだ影響があるのだ。ひさしぶりに入った店内は、右奥の雑誌フロアが強化され、より専門色が強くなっていた。1冊欲しい本があったが、予算が折り合わず外に出る。

渋谷駅まで歩いて帰ろうとぶらぶら道を辿るうちに道玄坂の雑踏へ。どうしたものか、以前よりも路上喫煙者の数が増えている気がする。店内で吸うのが駄目になったからだと思うが、公道が煙くなっては無意味なのではないか。ふと気が向いて井の頭線の渋谷駅につながる道を曲がると、老舗の喫茶店珈琲パリが閉業していた。自粛休業から復帰できずに45年の歴史に幕を下ろしたとのこと。残念である。

亡き面影を惜しみつつ古書サンエーへ。ここの店頭に均一棚が出ているのを見ないと渋谷に来た気がしない。古書サンエーとフライングブックスがなくなったらもう渋谷は渋谷ではないと思う。チブヤとかに改名したらいい。

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