街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2020年1月・吉祥寺「古書防破堤」「古書一日」「古書百年」「藤井書店」ほか

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この階段を上れば新しい古本屋が。

某月某日

そういえば以前より話題になっていた、吉祥寺にできるという新店「古書防破堤」の開店日に行ってきたのであった。すっかり忘れていた。

吉祥寺駅を北口に出て西に向かうとバスの通る広い道にぶつかる。吉祥寺は道路と線路が斜めに交差している街だ。この広い道を少し進んで東に入ったところにあるのが古書百年、最近になってできたその支店で、線路際をやはり東に進めば見つかるのが古書一日である。古書防破堤はその間の中道通りを進み、左に折れたところのビル二階にあった。道を曲がると置き看板が見えてくる。外階段を上って入ったフロアの奥だ。

店内は正方形に近い形で、入って右に帳場がある。帳場の前に均一棚。何人かのミステリー作家著書がまとめて置いてあるのは、同じところから買い取ったものか。扉のある側の一辺が文学棚、帳場と向かい合う一辺が人文系学術書や芸術、サブカルなどの棚、もう一辺がCDや音楽・演劇関係書という配置になっており、中央に文庫や新書、コミックの棚が二本入っている。文学棚を中心に見たが、選りすぐった本にふさわしい値付けがしてあるという印象である。残念ながら買えるものがない。開店記念に一冊は、と思って探すと音楽関係の棚に平岡正明『歌入り水滸伝』があった。三門博「唄入り観音経」から題名が採られており、浪曲評論が載っているので、これは必要な本なのだ。これからどんどん繁盛してもらいたい、とお祈りしつつ店を出る。

ここまで来たら当然一日には寄るのである。一日はアートに特化した古書店になっているが、店前の元は車庫だった場所が均一台を置いたスペースになっている。外なのでちょっと寒いが見逃せない。店内に入ったすぐの場所で、風景画の個展が開かれていた。見ればその日から始まったようで、吉田茂承水彩スケッチ展とある。吉田さんは元東映動画、その後Aプロダクションに移られたアニメーターで、『おはよう! スパンク』などの少女向け作品のチーフディレクターも務められている。「元祖天才バカボン」や「ガンバの冒険」などの出崎統作品にも参加しておられる方だ。拝見して、展示された作品を収めた画集を購入する。外に出ていた吉田さんが戻ってこられたので、意を決して話しかけサインを頂戴した。表紙にいただいたので、擦れないように手で持って外に出る。ふうふう吹いて乾かしながら次の百年へ。

サインを頂戴したのです。

百年は相変わらず素敵な空間である。海外文学棚でジェイムズ・サーバー『現代イソップ』を発見する。裸本で、もしかすると持っていたかもしれないが、これは要るのである。帳場に行くと、手にしていた画集を見た店員さんが、あ、一日からいらっしゃったんですね、と言った。袋、一緒に入れましょうか、と聞かれたがまだ乾き切ってないようなので遠慮して、礼を言って外に出る。

サーバー。表紙付きなら倍以上の値段だったはず。

ここから北に向かったところにあるのが絵本専門店のメインテントだが、残念ながらこの日はお休み。そこからさらに北のバス通りに出て右折、東に向かって道沿いの藤井書店に入る。山口瞳の文庫が均一棚にあったのでこれを買い、アーケードの中へ。もう一軒の老舗外口書店の定点観測だ。昔はバウスシアターの付近にさかえ書房という店がもう一軒あったのだが、劇場がなくなるのと同じころに閉店してしまった。すうさい堂もやっていないので、駅の向こう側に出る。バサラ・ブックス、古本センター、古本よみた屋と連続で見て、この日の古本欲はようやく収まった。バサラ・ブックスで新日本出版社の『世界短編名作選 フランス編1』があったので買ってしまう。フランス編は1か2かどっちか持ってないのだ。どっちかだから50パーセントの可能性でダブる。たしか1だ。2は持っていたのだ、と念じて購入する。帰宅後に確認しなければ、と思いながら夜のお仕事へ。

タイミングが悪くて実はまだ中に入れたことがないメインテント。

50%の確率でこの本はダブる運命にある。

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