杉江松恋 一覧

杉江の読書 『幻の屋敷 キャンピオン氏の事件簿2』(猪俣美江子訳/創元推理文庫)

 アルバート・キャンピオンは38歳にもなって従順な学童のようにかしこまっていた。齢80近いシャーロット大伯母から押しつけられた調査が進展せず、怠けず動け、と叱責されたのである。彼女が屋敷を2週間留守にした後で帰宅してみると、何者かが侵入した痕跡があったのだという。すべてを気のせいとして片づけたいキャンピオンであったが、見逃せない証拠があった。絶対にこの家のも...

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電撃座通信「若いおじさんの会 中年の星争奪戦#4」春風亭柳若×柳家さん光

電撃座通信「若いおじさんの会 中年の星争奪戦#4」春風亭柳若×柳家さん光

入門10年未満(若い)入門時年齢33歳以上、現在40代(おじさん)の二ツ目が芸を競い合う「若いおじさんの会 中年の星争奪戦」、10月5日に第4回が開催された(詳細は第1回のレポートをどうぞ)。出演は落語芸術協会より春風亭柳若さん、落語協会より柳家さん光さんである。柳若さんは1戦1勝、さん光さんは2戦2勝で、互いに負けなしの顔合わせだ。 ...

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BIRIBIRI寄席通信 「若いおじさんの会 中年の星争奪戦」PV完成!

BIRIBIRI寄席通信 「若いおじさんの会 中年の星争奪戦」PV完成!

「若いおじさんの会 中年の星争奪戦」のPVができました。 これまでの闘いの推移が5分弱でわかるようになっています。 下記のサムネイルをクリックしてご覧ください。 現在の星取表は、 1位 柳家さん光(権太楼門下)2勝0敗 2位 春風亭柳若(鯉昇門下)1勝0敗 3位 三遊亭鯛好(好楽門下)0勝2敗 同 立...

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杉江の読書 岡本和明『小せんとおとき』(角川書店)

杉江の読書 岡本和明『小せんとおとき』(角川書店)

「あたしゃねえ、はなしを卸す問屋だよ。三銭でおろしてあげるから、お前さんたちは、そいつを五銭で売るように勉強するんだよ。モトは取れるから……」(古今亭志ん生『びんぼう自慢』)  初代柳家小せんは1883(明治16)年生まれ。父もやはり落語家で、四代目七昇亭花山文から二代目三遊亭萬橘を襲名した。小せんは二ツ目時代に第一次落語研究会に登用されるなど早くから...

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小説の問題「風に舞った花びらが水面をうがつように」中島たい子と益田ミリと佐藤正午

小説の問題「風に舞った花びらが水面をうがつように」中島たい子と益田ミリと佐藤正午

「問題小説」(徳間書店)連載のBOOKSTAGEページから旧稿を発掘する「小説の問題」、今回は2008年3月号だ。  連載でマンガを扱うことは珍しかったのだが、この回では益田ミリの『結婚しなくていいですか。』を扱っている。4コマを連ねることによって長篇の話になるという作品で、人物の感情描写に関心を持って、この技巧を文章で説明できないか、と考えたのが出発...

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落語会レポート 第593回三越落語会に叔父と甥の共演を聴くため駆けつける

落語会レポート 第593回三越落語会に叔父と甥の共演を聴くため駆けつける

三越落語会第593回の顔付けが発表になった瞬間に、これは絶対に行かなければ後悔する、と決意した。なにしろ先代柳家小さんの高弟である小三治と、その兄弟子・立川談志門下の立川談四楼が出演するのだ(以下も敬称略で)。叔父と甥の共演がこの前に実現したのは、いったいいつだったのだろうか。それ以外の出演者も、小三治の弟子であるはん治以外は、落語芸術協会から瀧川鯉昇、五代...

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BIRIBIRI通信 「志のぽん名工烈伝#2」立川志のぽん 20160928

BIRIBIRI通信 「志のぽん名工烈伝#2」立川志のぽん 20160928

「志のぽん名工烈伝」は、筑波大学大学院芸術学科修了という異色の学歴を持つ落語家・立川志のぽんさんが、江戸名工伝の数々に挑むことを主眼とした落語会だ。前回7月18日の第1回では左甚五郎伝のうちから「ねずみ」を演じた。第2回は、岩本昆寛を題材とした「昆寛狐」という予告が出た。岩本昆寛は1744(延享元)年生まれで、腰元彫、すなわち刀周りの彫刻を能くした名...

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BIRIBIRI寄席通信 「立川さんちの喫茶★ゼンザ」20160928

BIRIBIRI寄席通信 「立川さんちの喫茶★ゼンザ」20160928

毎月恒例の落語立川流前座勉強会「立川さんちの喫茶★ゼンザ」は、正式メンバーが3人になったのを機に、今回からリニューアルした。ご存じのとおり立川流では、前座から二ツ目への昇進条件として、持ちネタ50席と歌舞音曲などの課題が定められている。それをこなしていって二ツ目への階梯を上がるための回とし、勉強の成果をお客さんにご覧いただこうということになったのだ(...

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杉江の読書 カーリン・フォッスム『晴れた日の森に死す』(成川裕子訳/創元推理文庫)

杉江の読書 カーリン・フォッスム『晴れた日の森に死す』(成川裕子訳/創元推理文庫)

 森の家で一人暮らしをしていた老婦人が殺されたという。 通報を受けた警察官は現場に急行し、左の眼窩に鍬の刃が突き刺さった、無残なハルディス・ホーンの死体を発見した。通報者である少年は、現場近くでエリケ・ヨルマ・ピヨテルを目撃したという。エリケは奇矯な言動で知られ、付近の住人に恐れられていた人物だった。事件を担当するはずのコンラッド・セイエル警部...

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杉江の読書 早坂吝『アリス・ザ・ワンダーキラー』(光文社)

杉江の読書 早坂吝『アリス・ザ・ワンダーキラー』(光文社)

表紙を見て、あ、島風、と思ったが違いました。ウサギである。 早坂吝『アリス・ザ・ワンダーキラー』は、第50回メフィスト賞を獲得した『○○○○○○○○殺人事件』(講談社)でデビューを飾って以降、さまざまな奇手によって読者を驚かせてきた作者の最新作だ。題名が示す通り『不思議の国のアリス』がモチーフとして使われている。同作はミステリーとも相性がよく、国産の作...

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