岐阜~富山行の最後。
高岡市の古本なるやからバスを乗り継いで富山駅まで戻ってきた。
伏木中央町の停留所でバスがなかなか来なくてじりじりと陽光に頭を焼かれたり、乗りづ義の広小路停留所の位置を間違えて乗り逃がしたり、といろいろ苦難があったのだが、長くなるので省略する。要するに富山駅に着いたのであった。
そこから古本ブックエンド2号店へ向かう。富山駅からは富山軌道線に乗って大手モール駅で降りると近い。そこから歩いて数分の、商店街の中心からは少し離れた雑居ビルの1階にお店はあった。
外観を見ただけでもその実力ぶりがわかる。1号店との違いは年季の入った背の高い棚で、それが立ち並んで3本の通路を縦に形成している。文学なら文学、社会科学なら社会科学というようにゾーンが形成されているのだが、棚の面積が大きいだけに所蔵量が半端ではなく、各ジャンルとも硬軟合わせて相当数が棚に陳列されている。海外文学だと英語圏だけではなく多言語のコーナーもきちんと仕分けられているし、文庫棚はかなり珍しい絶版ものも取り揃えられていた。
これは何でも買えるが、せっかくなら富山に来たという徴になるものが欲しい。あれこれ見て回るものの、目移りがして決まらない。一時は郷土本に決めかけたのだが、そのとき戸を入ってすぐの左側に演芸コーナーがあるのを発見した。当然見る。そして、見つけてしまった。
菊地真一編『講談資料集成』(和泉書院)全三巻である。揃いで見るのは初めてだ。貴重な資料を集めた、必携の一冊である。急いで値段を確かめたが、持っている現金で十分足りる額だった。そしてその横に芝清之編『浪曲人物史 その系図と墓誌録』(『上方芸能』編集部)が。これも浪曲研究のためには欠かせない本だ。家には一冊あるけど、もう一冊あってもいいのである。ただしこちらは値付けが見当たらなかった。
帳場に行って勘定をしてもらう。『浪曲人物史』のほうは値段を聞いたら、びっくりするくらい安かった。一応「この本は他のところだと●●円くらいは点けると思うんですが、いいのですか」と確認したが、店主はさばさばした顔で、倉庫に長いことあってそんなに綺麗な本でもないから、と呈示した額のままにしてくれた。ありがたいやら申し訳ないやら。
聞けばこの2号店は、もともと老舗の今井古書堂だった場所なのだという。今井古書堂が無店舗営業に切り替えたため、後を譲り受けて入ったのだ。だから2号店なのである。形としては山形の田がま屋などに似ている。
それにしても恐るべき実力の店だった。今度はもっと時間をかけて見なければならない。まだまだいろいろなものが眠っているだろう。だいたい、店舗の約三分の一はバックヤードになっていて、そこにも大量に本がしまわれている気配がするのである。ここに来るためだけに富山を再訪しなければならない。
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