先々週土曜日はアートスペース兜座にて〈スギエゴノミ〉の一日だった。
午前中は天中軒かおり・玉川絹華の「目指せ年季明け! 勉強会」で、曲師はそれぞれ沢村博喜・玉川さとである。この勉強会では交替で一人が二席読むことになっている。今回は絹華二席の日だ。
忠僕元助 絹華・さと
元禄花吹雪 かおり・博喜
鹿島の棒祭り 絹華・さと
三席の中では「鹿島の棒祭り」がよかった。二代目の玉川勝太郎を意識したのかな、と思ったのだが本人曰く大師匠の福太郎の音源を主にやっているとのこと。磨きをかけていってもらいたい。
相合舟 勝千代・美舟
トーク
よっちゃんのビー玉 勝千代・美舟
毎回一席私からリクエストをしていて、この日は清水一朗原作の「相合舟」だった。見合いを嫌って逃げ出した若旦那が船宿で相席を頼まれる。承諾して入ってきたお嬢さんが実は、というもので、筋らしい筋はないが男女の微笑ましい感情の機微が楽しい。「よっちゃんのビー玉」は打って変わって平和を祈る浪曲。児玉辰春の戦争を題材にした絵本が原作で、三部作の一つである。最初に笑って最後に泣いて、充実した会になった。
次回の予告ネタは「耳なし芳一」。現役では他に東家三楽の持ちネタだが、これは勝千代が自ら台本化したオリジナルで、三楽版とは演出がまったく異なる。ネタおろしで上野原でかけてからまだ再演されていないはずで、東京のお客さんには初お目見得になるはずだ。
夜は「広沢菊春独演会」で曲師は引き続き広沢美舟である。国定忠治連続読みに現在挑戦中で、これが第二回。
忠治髪結床 菊春・美舟
火の車お万 菊春・美舟
「髪結床」と「火の車お万」は一席として演じられる場合もある。後者は珍しい女性侠客もので、このあとお万と忠治は関係を深めていくことになる。次回はどうなりますことか。
というわけで一日浪曲成分を補充したのであった。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございます。次回7月13日もよろしくお願いします。