柳家三亀松 一覧

小説の問題vol.30 「小体で小粋で」吉川潮『浮かれ三亀松』・乙一『夏と花火と私の死体』

吉川潮の小説が好きだ。吉川潮の名前を知らない読者はまさかいないだろうと思うが、春風亭柳朝の一代記を描いた『江戸前の男』(新潮文庫)の作者である。長唄三味線の師匠を父に持ち、音曲師の芸人を妻にするという、氏と育ちの平仄の合った生き方は、当節実に珍しい。ある意味異色の小説家といえるだろう。 そんな人が、江戸前の心意気を語ると実にここ...

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芸人本書く列伝classic vol.35 コロッケ『マネる技術』

芸人本書く列伝classic vol.35 コロッケ『マネる技術』

ものまね、という芸が私にはよくわかっていない。 寄席芸で言うところの「形態模写」あるいは「声帯模写」ならばなじみが深いのである。あれは話芸の中にその折々の時事に関する有名人や、人気者(歌舞伎役者や映画スターなど)を織り込んで「ご機嫌を伺う」という芸である。四季を感じさせる鳥の鳴き真似を得意とする江戸屋猫八という名人もいましたね。 話芸なく...

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