書評 一覧

杉江松恋不善閑居 知らない間に予選落ちしていたこと

某月某日 今抱えている仕事。レギュラー原稿×2。イレギュラー原稿×3(エッセイ、文庫解説×2)、ProjectTY書き下ろし。 やらなければならないこと。主催する会の準備×1。 レギュラー原稿が1本だけかたづけられたがあとは難航中。うんうん唸って仕事をしている。唸っても別に先に進むわけではないのだけれ...

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書評の・ようなもの バトル・ロワイアルは負けなかった、勝ったのだ。

雑誌『映画秘宝』が2022年3月号をもって休刊すると聞いた。同誌には一度だけ寄稿したことがある。2011年1月号の『バトル・ロワイアル』特集号だ。記憶が正しければ、田野辺尚人氏からの依頼だったと思われる。映画『バトル・ロワイアル2』のノヴェライゼーションを担当したことは私にとってライター業の大きな節目になった。それもあって、『バトル・ロワイアル』という作品へ...

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杉江松恋不善閑居 書評家カルテルは存在しない

杉江松恋不善閑居 書評家カルテルは存在しない

某月某日 今抱えている仕事。レギュラー原稿×2。イレギュラー原稿×1(調整待ち)、ProjectTY書き下ろし。下読み×1。 やらなければならないこと。主催する会の準備×1。 レギュラー原稿を一つ書き終わった。イレギュラー原稿のインタビュー構成も終わったので、大きな課題がなくなった。今日から『ジャーロ』連載第三回の仕...

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杉江松恋不善閑居 対象とする作品にふさわしくない書評というものはある

杉江松恋不善閑居 対象とする作品にふさわしくない書評というものはある

某月某日 今抱えている仕事。インタビューの構成×1(イレギュラー1)、レギュラー原稿×3。イレギュラー原稿×1(調整待ち)、ProjectTY書き下ろし。下読み×2。 やらなければならないこと。主催する会の準備×1。 「ミステリちゃん」2022年2月号、その3でおしまい。 昨日のうちに3本は待ってもらっ...

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書評の・ようなもの 「さしたる不満もなく私は家に帰った」岸本佐知子『なんらかの事情』

書評の・ようなもの 「さしたる不満もなく私は家に帰った」岸本佐知子『なんらかの事情』

日曜日なのだがお昼は外で食べましょうということになった。 別にお出かけとかそういうのではない。美容院とお買物の用事で妻が不在になり、残された子供と二人で飯を作るのもめんどくさいので外に行こうか、という相談がまとまったのである。 うちの子は食べることについては非常に張り合いがなく、何を食べるかと聞くと必ず、 「ラーメン!」 と言...

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書評の・ようなもの 「さしたる不満もなく私は家に帰った」武田百合子『ことばの食卓』

書評の・ようなもの 「さしたる不満もなく私は家に帰った」武田百合子『ことばの食卓』

お行儀の悪い話でたいへん恐縮だが、私は本を読みながら食事をするのが好きだ。 というよりも、本を読みながらでないと食事をしたくない、と言ったほうがいい。 たいていの人は昼時になると、何を食べようかと店選び、メニュー選びを始める。 おしゃれで、服を選んで買うのがいちばんお趣味という人でも、お腹が空いたときに洋服屋には行かないだろう。時計が好きな人も...

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書評の・ようなもの 藤田宜永さんのこと

書評の・ようなもの 藤田宜永さんのこと

藤田宜永さんが亡くなったという報せを受けて、昨日から呆然としたままです。 藤田さんとは個人的にどうこうという間柄ではなく、お会いしたことも数回しかありません。 しかし日本ミステリー事典の項目を執筆したのが私だということもあり、勝手に親近感を持っていた作家でした。 さらにもう少し違った感情を持つようになったのは、ここ数年前のことです。...

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杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 佐野晶『GAP ゴーストアンドポリス』

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 佐野晶『GAP ゴーストアンドポリス』

「杉江松恋の新鋭作家さんいらっしゃい!」番外編。デビュー作、あるいは既刊があっても1冊か2冊まで。そういう新鋭作家をこれからしばらく応援していきたい 引き込みが強い作品だと感じた。 読者の気持ちが引っ掛かる鉤が序盤にいくつか準備されている。それに興味を持ってページを繰りだすと、気持ちを掴まえられてぐいぐいと連れていかれる。娯楽小説としては、たいへ...

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杉江の読書 水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)

杉江の読書 水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)

良質のミステリー短篇集だ。水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)は、著者のこれまでの著作中でもかなり上位に来る作品である。印象的な題名は、全五篇が終わり近くに衝撃的な展開を準備しているとの宣言だろう。ページレイアウトもそれを意識した形であり、単行本になって「小説推理」掲載時よりも興趣は増したと私は感じた。 巻頭の「使い勝手のいい女」は『...

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小説の問題vol.61 「ふたりの作家のグルーヴ感」 横山秀夫『第三の時効』 ・北方謙三『林蔵の貌』

小説の問題vol.61 「ふたりの作家のグルーヴ感」 横山秀夫『第三の時効』 ・北方謙三『林蔵の貌』

私のようにのらくら生きている人間でも、日々の暮らしの中で疑問を感じることはある。以下は最近気になったこと。 一つは、先日刊行されたハワード・ヘイクラフト編の『ミステリの美学』(成甲書房)について。この本はミステリー評論としては古典の域に入る一冊で、読めば大いに知的な刺激を受けることができる。大昔に抄訳本が出たことがある本で、残念ながら今...

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