つげ義春 一覧

杉江の読書 『つげ義春全集8』(筑摩書房)

――しかし自分のすべてを捨てて蒸発するってのはなんだろう。 ――自分を「あってない」と観想するための具体的方法でしょう。(「蒸発」) 竹中直人が映画化した「無能の人」は、描かなくなったマンガ家・助川助三を主人公とする連作を元にしている。その第一作「石を売る」は「COMICばく5」1985年6月号に発表された。それに先行するのが1979年に描かれた...

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杉江の読書 『つげ義春全集7』(筑摩書房)

杉江の読書 『つげ義春全集7』(筑摩書房)

――それはウンコをするというよりも、腐敗した内臓を排泄しているのだった。 「大場電気鍍金工業所」の元工場長・金子さんは、メッキの毒に侵されて悲惨な最期を遂げる。つげ義春の作品には1960年代の「おばけ煙突」のように、社会的矛盾によって人間性を剥奪される状況がたびたび描かれてきたが、1973年発表のこの作品によってそうした主題が再び浮上することになった。...

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杉江の読書 『つげ義春全集6』(筑摩書房)

杉江の読書 『つげ義春全集6』(筑摩書房)

つげ義春の代表作「ねじ式」(「ガロ」1968年6月臨時増刊号「つげ義春」特集)が「ラーメン屋の屋根の上で見た夢」「ヤケクソになって描いてしまったもの」だという作者自身の言葉は常に真偽を問われてきた。だが、写実的な描写に注ぎ込まれた熱量は疑うべくもない。また、「目医者」のコマに模写元の写真があることなど、つげが本作のために行った準備の数々が判明している現在では...

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杉江の読書 『つげ義春全集5』(筑摩書房)

杉江の読書 『つげ義春全集5』(筑摩書房)

自分の好きなつげ作品は「ねじ式」や「ゲンセンカン主人」よりも「長八の宿」や「ほんやら洞のべんさん」なのだが、『つげ義春全集5』(現・『つげ義春コレクション 紅い花/やなぎ屋主人』ちくま文庫)にはそうした旅ものの短篇がまとめて収録されている。生活が安定したためか1967年につげは地方への旅行を繰り返した。その傾向が反映されたものだろう。ただし純粋なルポルタージ...

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杉江の読書 『つげ義春全集4』(筑摩書房)

杉江の読書 『つげ義春全集4』(筑摩書房)

 つげ義春の作家人生は2つの出来事によって大きな転機を迎えた。1つは「噂の武士」が掲載された1965年8月号以降、「ガロ」に執筆の機会を得たことである。同年内には「沼」「チーコ」という自身の節目となる2作品を書いたが、本人の意気込みも虚しく当時の評判は芳しくなかった。同じ貸本漫画出身の水木しげるが「週刊少年マガジン」の『墓場の鬼太郎』連載用にアシスタントを必...

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杉江の読書 『つげ義春全集3』(筑摩書房)

杉江の読書 『つげ義春全集3』(筑摩書房)

1960年代初頭の白土三平ブームを私は直接体験していないのだが、後追いの多さを見れば影響の大きさは察せられる。つげ義春もまた白土の模倣を要請された作家の一人だった。『つげ義春全集3』(現・『つげ義春コレクション3 鬼面石/一刀両断』ちくま文庫)には、前巻と同じ1960年代前半、すなわち貸本漫画界の終焉期に作者が手がけた時代劇漫画5篇が収録されている。画風はい...

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杉江の読書 『つげ義春全集2』(筑摩書房

杉江の読書 『つげ義春全集2』(筑摩書房

『つげ義春全集1』の後半に収められた「おばけ煙突」は無情感の漂う労働者の生活スケッチであり、後の「大場電気鍍金工業所」などを予感させる作風であった。しかし、そのまま順調に同路線を歩んだわけではなく、1960年代に入るとつげは迷走と言っていいほどに多彩な作品を手がけるようになる。おそらくは貸本漫画業界が末期を迎えており、強い柱となるジャンルが存在しなかったため...

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杉江の読書 『つげ義春全集1』(筑摩書房)

杉江の読書 『つげ義春全集1』(筑摩書房)

 つげ義春の本格的デビュー作は1955年に発表した描き下ろし単行本『白面夜叉』だ。『つげ義春全集1』(現・『つげ義春コレクション 四つの犯罪/七つの墓場』ちくま文庫)にはその直後、最初期の作品群が収められている。巻頭の『四つの犯罪』は温泉宿の逗留客が過ちを告白していくという連作長篇形式で、どれも完全犯罪の計画とその失敗を描くことが主軸になっている。その中の1...

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