杉江松恋不善閑居 熊本・通町筋「舒文堂河島書店」

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某月某日

今抱えている仕事。レギュラー原稿×5、イレギュラー原稿×1(評論×1)。やらなければならないこと。の・ようなものの準備×1。ProjectMH×1。

朝一番の日本航空で熊本へ。阿蘇くまもと空港には肥後琵琶師の岩下小太郎さんが迎えにいらしていた。明後日の演奏会「妙音」があるのに、私が肥後琵琶を聴くために熊本に行くことを決めたら空港から市内までの足を提供するとおっしゃってくださったのだ。ありがたく送っていただき、まずは熊本県立図書館へ。熊本に来るのは何十年ぶりだから、まず図書館に行って現地でしか手に入らない資料をコピーしなければならぬ。検索ワードをいくつか挙げて申請し、閉架からどんどん本を出してもらう。実りある調査になった。15時でいったん切り上げる。

水前寺公園前から市電に乗り、通町筋電停で下りる。ここから北にどんどん上がっていったところに古本屋が集まっている地帯があるのだ。人通りの多いアーケードの中を歩いていき、それが切れたあたりの右側にあるのが舒文堂河島書店である。店頭の均一棚が広く、もうそれだけで期待が膨らむ。入って右側が帳場である。そちら側の壁には辞書や稀覯書の陳列棚など。やはり稀覯書を置いたガラス張りの平台を挟んで、左側の壁には芸能・芸術系、趣味の本が並ぶ。四六版型の本の間にB5の雑誌が横向きに挟んであったりするから油断ができない。ここの棚はどこも足元に大型本が並べてある。

奥に行く。いちばん右側が郷土作家や文学書、歴史系の本が並ぶ通路。その隣が熊本と郷土関係の資料で、左に行くと社会科学書や自然科学書のゾーンという形になっている。ここでいくつか発見をしたが、どれも本の一部だけが必要な資料なので見送る。買おうと思えばいくらでも買えるのだが、こういう書店では無理に棚から引き抜いて、本当にその資料を必要とする人の手に渡らなくなるのは罪のような気がする。とりあえずもう一日あるのでよく考えることにして店を出た。(つづく)

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