BIRIBIRI寄席通信 「コイツDeショーYo! #2」瀧川鯉津・春風亭昇羊ふたり会20160908

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105678415 瀧川鯉津さんを初めて聴いたのはいつだったかまったく覚えていないのだが、ぱっと見て、武藤敬司に似ているよな、と思った記憶がある。その後で『東西落語家名鑑』を調べたら、出囃子が「グレート・ムタのテーマ」であることを知って笑ってしまった。寄席では本当にあの曲を三味線で弾いてもらって上がるのである。

「コイツDEショーYo!」はその瀧川鯉津さんが落語芸術協会の後輩である春風亭昇羊さんと始めた二人会だ。鯉津さんは芸術協会の中でも大所帯の方になった瀧川鯉昇門下、昇羊さんはあの「笑点」新司会者・春風亭昇太一門だ。この春に二ツ目昇進を果たしたばかりである。

けっこうな凸凹コンビだと思う。鯉津さんが1974年生まれ、昇羊さんが1991年生まれだから年齢差で17歳の開きがある(ただし入門の差は2年だけだ)。そして昇羊さんは誰もが認めるであろう、いい男なのである。よく見るとユマ・サーマン似だ。

この2人がなぜいっしょに、という疑問符を頭にくっつけながら聴いていただくのがいい落語会なのである。

この日の番組は以下の通り。ここから敬称略である。

オープニング映像

真田小僧 鯉津

おみっちゃんと僕 昇羊

仲入り

ぞろぞろ 昇羊

熊の皮 鯉津

エンディング映像

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春風亭昇羊さん。いい男。

おみっちゃんと僕は昇羊オリジナルの新作落語で、新しく店を出した男と、開店準備だけでいいから、と頼まれて手伝いにやってきたおみっちゃんの噺だ。詳しく書くのは野暮だと思うから止めておくが、噺の前半と後半に落差があり、それを映像的に見せる工夫もあって大いに笑える。演劇的な側面もある噺なので、落語をよく知らない人にも受けるのではないか。

2016-09-08-19-14-19

瀧川鯉津さん。こう見えて神経細やかです。

熊の皮は、ご存じのとおり頼りない亭主の甚兵衛さんの噺だ。仕事から帰ってきて疲れているのに頂きものの赤飯の礼を言いに行かされ、慣れない口上を言うのに四苦八苦する。ちょっといかつい印象のある鯉津が甚兵衛を演じると顔の落差だけで楽しい(口上に失敗してしくしく泣いたりするのである)。オーソドックスに演じたが、甚兵衛さんの愛らしさが非常に印象に残った。

オープニングとエンディングの映像がこの会の売りである。エンディングは二人の高尾登山の模様を編集したもので、男二人で仲良く登山、というのが微笑ましく、撮影と編集を担当した昇羊の意地悪なところも出ていて、長尺をあっという間に見せられてしまった。次回もこの試みは継続するそうなので、ぜひご期待を。「鯉津さんと昇羊さんにこういう無茶をしてほしい」というリクエストもありかもしれない。

次回は11月の予定。決まり次第お知らせいたします。

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